大阪市会議長 様
2018年度は再任用しないことを求める 陳情書
[ 陳情趣旨 ]
現在大阪市政と学校現場を混乱させ、またもしそれが強行されれば、間違いなく現職教職員や講師登録者や新採用受験者の他市への一層の流失を招くことが明らかなのが、「主務教諭新設による教員給料表2分割・差別化」と「学校内相対評価の導入」の2018年度実施案です。
この2つを一体にして大阪市に最初に持ち込んだ責任者が、任期途中で退任した前日の2016年3月30日の教育委員会会議で「素案」として提案し決定した、大森不二雄・教育委員長(当時)です。退任直後の4月に吉村市長が市特別顧問に任用し、その後2年近く市長責任の大阪市総合教育会議に出席してその具体化を推進してきました。
今回の「主務教諭」を巡る市政の混迷は、2月19日の市会・教育こども常任委員会で「この間実務だけで論議してきたので、・・・・反省している。」と答弁した山本教育長一人の責任では、決してありません。学校現場の教職員と子どもの困難な現状・課題を見ようともせずに、既に東京都教育委員会が強行して破綻が明らかになっている「競争と管理」政策の二番煎じだけを教職員と子どもたちに強要してきた、大森顧問と吉村市長の責任は大です。
少なくとも先ず、大森顧問の来年度の再任を市長としてやめて、学校現場と双方向で意思疎通ができる教育行政を再建することが急務です。
[ 陳情項目 ]
大森不二雄・大阪市特別顧問を、2018年度は再任用しないこと
2018年3月5日
陳情代表者
大阪市都島区東野田町4-7-26-304 教職員なかまユニオン気付
笠松 正俊 (090-1914-0158)
大阪市会議長 様
「大阪市職員基本条例」第3条と第18条に違反する、
教員に相対評価を導入する新人事考課制度案を実施しないことを求める 陳情書
[ 陳情趣旨 ]
2月19日の市会・教育こども常任委員会の質疑で、教員の新人事考課制度案の学校内での相対評価の、2018年度からの導入・本実施に関して教育委員会は、
「職員基本条例の相対評価は5段階だが、今回は上位2区分だけの「一部相対化」で「相対評価」ではない」と答弁している。
これは全くの詭弁だ。上位2区分が5%と20%なら、その他の残りの教員が75%で、5段階ではないが、3段階の相対評価そのものだ。
「大阪市職員基本条例」第3条は、
「高等学校教育職給料表、・・・・小学校・中学校教育職給料表及び・・・・幼稚園教育職給料表の適用を受ける職員については、第18条の規定は適用しない。」と明記している。
そしてその第18条では、
「任命権者は、相対評価により、人事評価を行う。
2、 前項の人事評価は、次の表の左欄に掲げる区分のとおり上区から区分し、概ね同表の右欄に定める分布の割合により行う。」と規定し、それに続けて5区分を示している。
第3条が教育職の適用を除外しているのは、第18条の第1項の「相対評価により、人事評価を行う。」ことそのものだ。
さらにその後、高校入試に内申書(調査書)として用いられる校長責任での中学生の評定も、従来の相対評価から絶対評価に、大阪府・大阪市教育委員会ぐるみでここ数年で変えてきた経過がある。それと同様で大阪市「職員基本条例」第3条も、学校職場の教職員については特に、相対評価による人事評価はなじまないとの判断に基づいて、大阪府の「職員基本条例」とセットで規定されたものである。
第18条の第2項で規定している5段階はダメだが、3段階なら条例違反ではないという曲解は、議会の軽視を超えて、法律家が本業であるはずの吉村市長による違法行為だ。
[ 陳情項目 ]
「3段階の相対評価」そのものである、教員の新人事考課制度案は、「大阪市職員基本条例」第3条と第18条に違反するので、実施しないこと
2018年3月5日
陳情代表者
大阪市都島区東野田町4-7-26-304 教職員なかまユニオン気付
笠松 正俊 (090-1914-0158)
大阪市会議長 様
主務教諭新設・教員給料表の2分割・差別化の、
2018年度実施の断念を求める 陳情書
[ 陳情趣旨 ]
12月6日と2月19日の市会・教育こども常任委員会で本陳情と同趣旨の陳情書が審査され、継続審査になっている。2月19日の審査では、「育休・介護休暇等を応募の欠格条件に入れること」については与党会派・維新を含めて全会派が厳しく批判し、修正を求めた。それを受けて教育委員会は、各教職員団体(組合)に修正提案を通知し、それに基づく追加募集を強行している。
しかし2月19日の常任委員会は、それだけを条件変更すれば、新施策案そのものは問題はない、という論議では決してなかった。市会ホームページ掲載の動画記録に残されている限り、野党3会派からは明確に以下の指摘と批判があった。
自民・森山市議
「他にも懸念がある。主務教諭選考の基準が不明だ。今回は希望者の大半が合格かもしれないが、来年度以降はどうなるのかと思う。これまでの教育改革は、反省する点も多々ある。」
公明・金沢市議
「4号級分は年齢によって1,000円~10,000円、それがずっと続いていくのは大きい。この制度設計は、安心して働いていけるかどうか不安だ。新制度なら、学校現場の実態に合うように、より幅広い視野で検討すべきだ。こんな提案を出してくる大阪市の教育委員会そのものに疑問を感じざるをえない。」
共産・井上市議
「子どもにまともに向き合えないという、学校現場の声は悲痛だ。大きな額の生涯賃金の差も大問題だ。大阪市だけで、苦しむ教員への追い打ちだ。」
それらに対して、山本教育長はこう答弁している。
「この間実務だけで論議してきたので、本来的な時代の流れを踏まえた、細かな配慮が欠けていたことを反省している。予算市会までに再検討したい。」
学校現場の実態と校長を含む教職員の意見を全く考えに入れずに、実務だけで、デスクワークで制度設計を強行してきたことを「反省している」のなら、制度設計の全体を「反省」を踏まえて検討し直すべきだ。
今回の「主務教諭」募集の稚拙な強行と市政の混迷の最大の問題点は、強行している新制度についての教職員への説明責任を全く果たしていないことだ。例えば、教育委員会が主務教諭募集にあたって教職員に示すように校長に指示した文書には、主務教諭になった場合とならなかった場合の給与面での違いについての説明は全くなかった。給与面での説明を受けないまま応募した、あるいは応募しなかった者が数多く存在する。
仮に主務教諭になっても、定期昇給が約束されている訳ではない。相対評価を導入した新人事考課制度の年間の評価結果次第で、もし第4区分になれば4号級ではなく2号給だけの昇給、第5区分なら昇給ゼロだ。「主務教諭」どうしの中での競争を強いられる。しかしその「主務教諭」としての人事評価の項目・内容は、なんと「未定」!のままだ。しかも、現状ではそんな内実すらが、教職員には一切説明されていないのだ。これが教育委員会の言う「モチベーションの向上」につながることはありえない。
またそもそも、「首席等を補佐する」という新たな職責を負荷しながら給料はそのまま、逆に“上意下達”体制に入らない教員は大幅に賃下げするという本案が、「モチベーションの向上」になるというのは、本質としてはブラックジョークだ。
そして、吉村市長自身も含めて誰もが否定できないことは、本案を強行すれば大阪市への教員の就職忌避と、既に始まっている現職教員の他市への流出が一層進むということだ。
この2年間近く、この新施策案を強引に進めてきたのは教育委員会ではなく、吉村市長が責任者の「大阪市総合教育会議」と、その場の「大阪市特別顧問」の大森不二雄・前教育委員長だ。条例改定案として市長から市会に提案した内容に関連して、追加変更を修正提案するという市政そのものの混迷に対する行政責任を含めて、吉村市長自身の責任判断で「2018年度の実施」は断念すべきだ。
[ 陳情項目 ]
主務教諭を新設し、教員2級給料表を2分割・差別化して、下位者の定期昇給を37歳で停止する新施策案の、2018年度の実施を、大阪市総合教育会議の責任者の吉村市長の判断で断念すること。
2018年3月5日
陳情代表者
大阪市都島区東野田町4-7-26-304 教職員なかまユニオン気付
笠松 正俊 (090-1914-0158)