感染急拡大に伴う追加要請書

新型コロナウイルスの感染急拡大に伴う当面の教育活動についての追加要請書

                                     2022年1月31日

大阪市教育委員会  教育長 山本 晋次 様

                なかまユニオン・大阪市学校教職員支部  支部長 笠松 正俊

 前略。第6波新型コロナウイルス感染の急拡大の中で、当組合はすでに1月7日に続いて、24日にも、「① 全ての学校の児童生徒と教職員全員を対象に、3学期を通して週1回の定期的な PCR 検査を行うこと。感染者が出た各学校にはただちに児童生徒と教職員全員のPCR検査を行うこと。 ②上記の実施がすぐにできないのなら、少なくとも感染者が出た学校では、児童生徒・保護者と教職員に、現在大阪府全域で行われている無料PCR検査の案内周知(当該学校の近くの検査可能な場所・方法等)をすること。検査を受ける児童生徒については、欠席でなく出席停止扱いとし、教職員については職免扱いとすること。」との緊急の要請をしたところです。

 ところが、貴委員会はこれらはなされないまま、1月27日に「オミクロン株の流行状況等を踏まえた、新型コロナウイルス感染症の感染者が 確認された場合等の対応について」を発出。そこでは、感染リスクの高い部活動の一定の停止を指示されながら、その一方で「1 濃厚接触者の候補者の特定について」では、学校による調査のうえ、陽性者・濃厚接触者のみ出席を停止し、学校活動を継続(濃厚接触者は陽性者との最終接触日の翌日から10日間出席停止、1月31日付「事務連絡」でさらに7日間に短縮)とされ、また学級休業の取り扱いについては、直近3日間で陽性者及び濃厚接触者が15~20%以上確認された場合には3日間の学級休業、複数の学級休業等学年内で感染が広がっている場合には学年休業、複数の学年休業等学校内で感染が広がっている場合には学校全体の休業として、これまでの保険所との相談の下での学校の消毒や学校休業期間の決定という対処が大きく変更されました。

 そのため学校現場の教職員の間では、学校で濃厚接触者の判定ができるのか、検査も休業もなしで本当に感染拡大の防止を保障できるのか等の不安や混乱が広がっています。またそもそも、これまででも管理職以外の教職員にはほとんど情報が共有されず、感染者が誰で何人かも知らされないままの場合が多く、教職員が根拠や確信を持てないままの学校運営がされているとの声が上がってきています。

 例えば、濃厚接触者の可能性の判断基準として、陽性者の感染可能期間中に、「手で触れることのできる距離(目安として1m)で、マスクなしで15分以上話をした者」等が示されていますが、一日中過密な教室で一緒に生活し、少なくとも昼食時にはマスクなしでの場面があり、近くで会話をしている可能性が高い生徒もいるのではないかと想像されますが、15分以内なのかどうかを正確に知ることは困難だと思われます。それ以前に現在のオミクロン株は感染力が強いことを考えるなら、15分以内でも感染の危険性があると考えられるのではないか。また1m以内の会話がない場合でも、冬場で換気が不十分な場合には感染の危険性があるのではないか、等々。また部活動においては一層、更衣室だけでなくてもマスクなしの場面や近くでの会話や接触の機会が多いと思われます。それらについて本人も含めて、正確に思い起こしたり確認することは、一層むつかしいのではないでしょうか。

 以上のような危険性や不安を可能な限りなくしていくためには、やはりPCR検査を広く行い、陽性者を把握することで感染拡大の可能性をできるだけ少なくすることが根本的に必要です。そのためには感染者が判明したら、すぐに検査ができるように検査キット等の準備や医療従事者・契約業者への手配の段取り等を市教委の責任でしておかなければなりません。事前に生徒・保護者に検査の希望の有無や事後の連絡等のあり方について決めておくことも必要です。そして感染者への聞き取りや(濃厚)接触者の把握のためには、その中心になることが想定される当該の学級担任やクラブ顧問等だけでなく、全教職員の目で見た状況を互いに確認して把握をし、協力をしていくことが何よりも必要だと考えます。そのためには、感染発生状況について、非常勤職員を含めて教職員の情報共有をすることが不可欠です。

 以上の観点から、再々度になりますが、以下の点を検討・実施されることを要請します。

(1)感染急拡大での緊急性に鑑み、児童生徒と教職員への週1回のPCR検査を、回収業者等が学校巡回して回収・検査を行うこと。

少なくとも感染者が判明した学校では、教職員や感染の危険性の高い学級・学年・クラブの児童・生徒全員へのPCR検査をただちに行うことができるようにすること。

(八尾市では、八尾市立の小中学校や、認定こども園、保育所などに勤務する教職員等のおよそ5300人を対象に週1回のPCR検査をすることを決定し、早ければ1月24日から開始とのことです。教職員・児童生徒・保護者の不安の中で、このような自治体・教育委員会による感染拡大防止の努力をすることが問われています)。

(2)感染状況の把握や感染拡大防止のためにも、全教職員が情報共有をできるようにすること。

現状では、管理職が個人情報保護の観点からか、感染発生の情報をごく一部の教職員にしか知らせず、多くの教職員が感染の現状を知らされないまま、言わば結果的に情報が隠蔽された状態で、全教職員の協力による対策が取れなくなっているとの声が上がっています。またそのことが、管理職(校長)の独断で休業や休校を避けた結果、それが翌日以降の繰り返しの感染や爆発的な感染に繋がった例も、既に広く起こっています。

個々の教職員の守秘義務を前提として、こうした非常時の時にこそ全教職員の協力体制が必要であり、そのためには非常勤職員を含めた、感染発生の情報共有の必要性を、市教委から校長に周知をすること。

(3)学校行事や部活動についても、感染防止の観点から各地域・学校の状況に応じて、不要不急のものについては実施をしないこと。(どうしても必要ならオンライン開催等で感染の危険性を避けること。)

また卒業式・入学式での「君が代」については、少なくとも起立・斉唱の強制をしないこと。

(4)加えて、これまでに既に確認していることですが、非常勤職員の休業になった場合の勤務時間のカウントについては、代替の時間を認める等の措置を取ることを校長にも再度周知し、予定の時間数分の支給金額が減額されないようにすること。

 事態の根本的な対策としてはせめて全学年を早急に30人以下学級にすることやPCR検査も含めた十分な保健・医療体制をつくることにあると考えますが、当面の緊急に必要な措置として、以上を実現されることを要請します。

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