第5波コロナ感染拡大にともなう学校教育についての要請書

2021年8月30日

大阪府教育委員会

教育長 橋本 正司 様

なかまユニオン 大阪府学校教職員支部

支部長 山田 光一

第5波コロナ感染拡大にともなう学校教育についての要請書

コロナ禍の中でなかまユニオンとして、昨年5月以降、貴委員会に4度にわたって要求書を提出し、協議や交渉申入れをしてきました。このうちの一部は認められたものの、その多くは未だに要求を継続しなければならない状況です。そこで以下、引き続いて緊要の要求を申し入れるものです。

① 学校や地域の感染状況・地域の保護者の勤務実態やオンラインの準備状況を勘案し、分散登校(1日おき、あるいは午前・午後等)・オンラインか登校かの各家庭判断、学校休業・時差登校・給食の提供を確保するか、教職員が在宅勤務できる状況が確保できているか等々、各学校園で検討すべきポイントと現場・地域の実態は多岐にわたります。

コロナ禍での教育のあり方を考える主体は、現場の教員です。教員が意見を出し合い(自分の不安感や心配も含めて)、こどもや保護者の声を汲み取る窓口になって、対策を練り実践することが最も大切にされなければなりません。あわせて非正規の教職員にも情報共有し、意見交換を担う役割を保障することが必要です(労働条件の改善・安定的な雇用の保障等を当然の前提として)。

教育委員会は、この各地域・学校・教員の取り組みを支援し、各学校園の感染防止のための対策(授業の形態・必要な要員・物資等)を尊重し必要な措置を講じること。

② 教育委員会は安全配慮義務を果たし、定期的な行政検査(PCR検査または少なくとも抗原検査を1週間に1回以上)を教職員・児童生徒に行うことで無症状感染者を早期発見・隔離・治療し感染が教育現場に広がらないようにすること。

抗原検査キットの使用については、養護教諭をはじめとした教員への負担がかからないよう、人員を配置すること。

③教育委員会は安全配慮義務を果たし、教職員への希望者全員へのワクチン接種を優先させること。また一方でワクチン不可の教職員への差別等がないように配慮すること。

④ 教委が通知する「校務運営に支障を生じない範囲で可能な限りでの在宅勤務(テレワーク)の活用」では実質的に出勤者を何割減にできるメドを考えているのか計画を明らかにされること。テレワーク(在宅勤務)などによる出勤者の7割削減(菅首相表明)を教育現場で実現ができるように、教職員の大幅増を行う計画の検討に着手すること。

⑤ 教室での密を回避し感染を防ぐために文科省方針を待つことなく、独自に20人学級への移行に着手すること。そのための教員の大幅増と教室の確保に取り組むこと。

⑥ 学校園での児童生徒・教職員の感染者が発生した場合は、必ず学校園の全員に対するPCR検査を実施し、学外や家庭内感染による感染や重篤者を生まない取り組みを行うこと。そのための人員・予算等が確保されるように関係機関に要請すること。

⑦ 学校または学年の一部を休業とする場合の「オンライン授業」等の新たな教育形態の導入については文科省自身が示している原則にのっとり、現場教員の意見を聴き尊重し、準備等を整えた漸進的なものとすること。さらに、児童生徒の自宅隔離等で登校しない生徒への双方向でのオンライン授業ができる体制を現場教員・児童生徒の声を受けとめて準備すること。

⑧今後、感染拡大により臨時休業となった場合に伴う保護者への支援を図ること。具体的には、臨時休業になった学校・園の12歳未満の児童がいる保護者は、職場で特別休暇を申請・取得することができ、保護者がこどもの保護ができ、休暇を取った保護者が減給等の不利にならないよう助成金を支援する施策を関係機関と連携して行うこと。

⑨ 児童生徒の中で、感染が不安な場合は登校しないことができ、出席停止扱いにする(欠席扱いにしない)との教育員会の方針を広く再発信すること。

〔なお以下は、今年の2月1日に提出の要望の一部ですが、再掲します。〕

〔3〕PCR検査の拡充、感染防止のための資材の配備を早急に行うこと

新型コロナウィルス感染の第3波の拡大の中で、学校の生徒と教職員の感染者も1月以降急増している。しかし、大阪府においては、多くの保健所と教育委員会は、「濃厚接触者→PCR検査者」をごく少数に絞り続けている。その結果、感染者が出た学校においても、PCR検査を受けている生徒・教職員はごく少数に限られているのが現状である。

「濃厚接触者」の基準は「1m以内、かつ15分以上、かつマスクなし」とされている。しかし学校の教室は40人学級の超過密で、15分どころか一日中をともに過ごしている。不織布マスクですら(まして生徒が多用している布マスクが)ウイルスを遮断することはできない以上、「マスクをしている」ことだけを根拠に「濃厚接触者から外す」ことでは、全く感染防止にならない。治療法とワクチンがまだない中での感染防止策は、「PCR検査の徹底拡大で感染者を早期発見し」「発症と、軽症者の重症化を止める」ことに尽きるといえる。長時間にわたって過密になる学校現場では、生徒の感染防止と、教職員の安全衛生環境の保障は不可分である。生徒の学校生活の安全安心のためにも、大阪府教委から各市町村保健所に要請して、感染校での感染可能性の高い生徒(少なくとも所属クラス・部の生徒全員)と全教職員のPCR検査を至急に実施するようにするべきである。

①学校の子どもと教職員の感染発生に対しては、濃厚接触者の基準(実質的にマスクなしの者)に限定せず、安全と安心のために、感染可能性の高い生徒(少なくとも所属クラス・部の生徒全員)と教職員全員のPCR検査を実施すること。

②学校での感染防止や消毒作業についても、十分な器具や物資(非接触の体温計・防護服や消毒薬等)を配備し、生徒・教職員の負担と感染危険性のもとでまかされることがないように早急に対策を取ること。

〔4〕公共交通機関での感染防止のため、生徒の登校実態に応じて、教職員の在宅勤務と時差出勤(勤務時間の割り振り変更)を推進すること。公共交通機関で通学する生徒が多い高校については、始業時間自体を1時間程度遅くして、感染防止を計ること。教職員の時差通勤・在宅勤務を可能にする授業編成・人員配置を推進すること。特に高校では始業時間の1時間程度の繰り下げ等による満員電車緩和を推奨すること。教職員の時差通勤や特に妊娠中の女性教職員等の通勤緩和・休業の取りやすさにもつながるものとして、各学校での時間割・授業編成も含めて、配慮することを校長に通知すること。

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