4月26日からの学校の新型コロナウイルス対策についての 至急の要請書 (4月27日 一部修正版)

2021年4月26日

大阪市教育委員会

教育長 山本晋次 様

なかまユニオン・大阪市学校教職員支部

支部長 笠松正俊

 前略。子どもたちの教育の保障と、教職員の勤務労働条件のために、コロナ対策について、以下3点を至急に要請します。

1、4月22日付の教育長通知(校園長宛)の「1 学校園における授業・保育について」で指示している、「緊急事態宣言」中の全員一律の「家庭にて、1人1台学習者用端末でのICTを活用した学習(学習動画の視聴や調べ学習、双方向通信等)やプリント学習等を行う。」(小学校1・2時限目と5・6時限目、中学校1~4時限目)という方法は、動画の視聴という一方通行で、学びを保障できません。また双方向通信は未だ各学校では準備ができていず、突然の実施は現実に不可能です。感染拡大下でその「実験」を強行することは、教職員を超多忙化しコロナ感染防止対策の妨害になるだけです。松井市長がトップダウンでマスコミ記者にこれを公表し、コロナ拡大の中での学校教育の「危機」を政治利用した翌日に、学校現場の実態を踏まえて市教委自身が一旦「実施不可能」と表明していた教育行政としての責任ある判断に立ち返り、全員一律のICT家庭学習(オンライン授業)を直ちに中止してください。

2、子どもたちに公教育の場を保障するために、オンライン授業については、登校に不安を感じている子どもがいる場合や、感染者が出た学校で補助的手段として活用できる条件づくりを進めてください。また校区ごとに地域と家庭生活の実態・条件は様々で、小学校1年から中学校3年までの年齢差や、子どもの障害への必要な配慮もそれぞれに違います。感染者が出た学校での拡大防止のための短縮授業や午前・午後等の分散授業や休校については全市一律ではなく、教職員と保護者・子どもの意見を踏まえた学校ごとの判断を尊重し、市教委はそのための支援を全力で行ってください。

3、変異ウイルスでの感染拡大の中で、子どもたちに公教育の場を保障し続けるために至急に必要なことは、決してオンライン授業の「試行」などではなく、感染防止対策を一層強化することです。現状の「手洗い・マスク着用指導と換気の徹底」だけでなく、子どもや教職員の感染者が出た学校ではPCR検査を「濃厚接触者」に限らずに、他県や他市で行われているように同学級・同学年・同じ部活動の子ども全員や全教職員に対して行い、無症状の陽性者を把握して、限定した休校・学級閉鎖を行うようにしてください。

〇 要請の理由

 ・コロナ対策の大前提の問題として、広島県など各地で幅広いPCR検査が始まっていますが、大阪府(特に大阪市!)は未だに「濃厚接触者」に限っています。PCR検査を広げず、飲食店を始め休業補償も殆どしないままで、「緊急事態宣言」で「自粛」を強要するだけの無策では、拡大を防げません。

 ・学校については、昨年4月の「緊急事態宣言」時の「午前・午後の分散登校」実施で少人数学級の必要性が再確認され、法改正につながりましたが、半日の自宅待機自体は保護者、特に共働きの女性労働者が欠勤せざるを得ない(非正規雇用で無給の場合も含めて)問題が広がり、生活の場としての学校の保育機能の公共性が再確認されてきました。今回の市教委の「家庭にて、・・・ICTを活用した学習」は、それと同じ問題を繰り返すことになります。

 ・また「1人1台学習者用端末」(タブレット)を貸し出せるとしても、子どもの家庭環境・学習机等の条件や習熟度は大きく違い、公教育としての学習格差が広がります。

 ・特に大阪市では数年来、トップダウンの教育行政と教職員の過労・休職、授業不成立等の困難で、欠員状態が続いています。今年度は生活の厳しさのためか講師希望者の登録が多く、数年前に続いていた「担任がいない」穴あき欠員状態は4月時点ではかろうじて免れて始まっていますが、22日の教育長通知以降のこの数日は突然のオンライン授業の準備で、教職員は超過労労働を強制されています。この愚策は、既に大きなひびが入っている大阪市の学校現場をさらに急速に崩壊させるものです。

 ・変異株ウイルスは子どもにも感染が増えていますが、これまで以上に子どもが重症化するという医学的知見は今のところありません。無症状の陽性者を把握するための広範なPCR検査こそが、大阪市教委が感染拡大防止のためにすべきことです。同じ大阪でも例えば豊中市教委と豊中保健所は、子どもの陽性者1名が出た小学校で全校のPCR検査を実施しています。松井市長は「ICT学習」(政府の「GIGAスクール構想」)の「危機を悪用した試行」というべき教育介入を止め、大阪市保健所のPCR検査体制拡大にこそ責任を持つべきです。

以上です。

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