9月4日付「住民投票にかかる教職員の政治的行為の制限について」文書に関する緊急の質問書

2020年9月29日

大阪市教育委員会

教育長 山本 晋次 様

なかまユニオン・大阪市学校教職員支部

支部長 笠松 正俊

 前略。

 大阪市教委は9月4日付「住民投票にかかる教職員の政治的行為の制限について」(教育長)文書で、各校園長に「特に別紙・・・に記載の内容について、教職員一人ひとりに対し遺漏なきよう周知徹底を図ってください。」と指示しています。

 その別紙「特別区設置に関する住民投票において本市教職員が制限される行為」の「1 法的規制」では、

  「〇当該住民投票において、教育公務員は教育公務員特例法、教育公務員以外の職員(技能労務職等は除くは地方公務員法及び職員の政治的行為の制限に関する条例に規定される行為が禁止される。

    〇また、公職選挙法上、教職員は、一般的な投票運動の規制に加え、公職選挙法第136条の2第1項で地位利用による投票運動が禁止される。(以下略)」

と書いています。

 このことに関して、以下の質問に、メール等の文書で回答してください。

なお、同別紙に記載の「2 規制適用時期」が「両議会の承認を得て以降、(投票日まで)」と既に始まっているので、遅くとも10/2(金)までに至急の回答を要請します。

〇 質問

  国政や地方自治体の公職選挙と住民投票は、その法律上の根拠が異なります。

  「公職選挙法」は別にして、「教育公務員特例法」と「地方公務員法及び職員の政治的行為の制限に関する条例」を今回の住民投票に適用できる、法的根拠を示してください。

〇 質問の説明

 ・今回の住民投票の根拠の法律の「大都市地域における特別区の設置に関する法律」第7条6は、

「6 政令で特別の定めをするものを除くほか、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)中普通地方公共団体の選挙に関する規定は、第一項の規定による投票について準用する。」

と規定しています。

 ・その「公職選挙法」の関連する該当条文は、

「第136条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、その地位を利用して選挙運動をすることができない。

一 国若しくは地方公共団体の公務員又は行政執行法人若しくは特定地方独立行政法人の役員若しくは職員

二 (略)

2 前項各号に掲げる者が公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)を推薦し、支持し、若しくはこれに反対する目的をもつてする次の各号に掲げる行為又は公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)である同項各号に掲げる者が公職の候補者として推薦され、若しくは支持される目的をもつてする次の各号に掲げる行為は、同項に規定する禁止行為に該当するものとみなす。

一 その地位を利用して、公職の候補者の推薦に関与し、若しくは関与することを援助し、又は他人をしてこれらの行為をさせること。

二 その地位を利用して、投票の周旋勧誘、演説会の開催その他の選挙運動の企画に関与し、その企画の実施について指示し、若しくは指導し、又は他人をしてこれらの行為をさせること。

三 その地位を利用して、第百九十九条の五第一項に規定する後援団体を結成し、その結成の準備に関与し、同項に規定する後援団体の構成員となることを勧誘し、若しくはこれらの行為を援助し、又は他人をしてこれらの行為をさせること。」

  です。

・つまり、住民投票に「公職選挙法」を準用する規定はありますが、住民投票に「教育公務員特例法」と「地方公務員法」(及び「職員の政治的行為の制限に関する条例」)を準用する規定は存在しません。

・また「公職選挙法」の準用については、その禁止(違法)内容は全て、「公務員の地位を利用して」という条件で、です。さらに、その禁止(違法)内容は全て、「推薦に関与し」「企画に関与し」「指示し、若しくは指導し」「後援団体を結成し」等の、主催者としての行為です。

・公務員にも選挙権があるように、公務員にも住民投票の投票権もあります。そして、公務員にも住民投票の投票権があるのと同じように、公務員にも「都構想住民投票への賛成・反対を表明する」言論・表現の自由はあります。公務員としての勤務時間内は当然制限を受けますが、勤務時間外の言論・表現の自由、例えば「都構想反対!」デモに参加することは、教育公務員も含めて全く合法です。

・それも含めて法律上禁止されているかのような内容の9月4日付の文書自体が、違法性があると考えます。

以上です。

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