「「障害者の把握・確認」悉皆調査の中止を求める」要求書

            2020年8月19日

大阪市教育委員会

教育長 山本 晋次 様

なかまユニオン・大阪市学校教職員支部

支部長 笠松 正俊

 前略。大阪市教育委員会は7月に、「障がい者の把握・確認について」という表題の回答用紙で教職員全員対象の悉皆調査を行い、全員に提出を求めた。これについて、教職員の勤務労働条件である職場の労働安全衛生環境にかかわる以下の要求書を提出し、団体交渉を申し入れます。

〇 要求内容

  厚生労働省の指示と食い違い、教職員の人権侵害とパワーハラスメント性がある、「障がい者の把握・確認について」用紙での悉皆調査を中止すること。

〇 要求理由

・この調査用紙では、「法においても、・・・雇用する障がい者である労働者について、・・・障がい者であることを明らかにすることができる書類を保存することとされております。」「障害者雇用状況の報告や合理的配慮のため、障がいの有無等を確認する調査を実施しております」と説明し、「障がい者の把握・確認について、利用目的の範囲内での調査に同意いただけますか。」の設問《1》に対して、「① 同意する。」「② 同意しない。」「③ 回答したくない。」の3択で全員に回答の協力を求めている。

 ・これについてわたしたちは、以下2点の質問を提出した。

(1)昨年度までは個人用紙での調査はしていなかったと思うが、今回個人用紙にした理由は何か。

(2)教職員の個人情報(障害の有無)を服務関連で集めること、

また障害者差別が現存する中で社会的弱者に告知を求めることは、ハラスメント性を持つと思うが、どう考えているか。

 ・これに対する市教委の最終回答は、

  (1・2)厚生労働省職業安定局が発行した手引には、個人が保有する情報については、

「利用目的等の事項を明示した上で、本人の同意を得て把握・確認を行うことが必要である」旨の記載があり、本人の同意の有無等を個別に把握する必要があるため、今回の調査方法としています。なお、調査用紙には「業務命令として回答を求めるものではないこと」の旨及び「回答を拒んだことによる不利益な取り扱いはない」旨を明示しています。

  だった。

 ・私たちはこの最終回答には納得できない。

  障害者の雇用の促進は、障害者枠採用・一般採用を問わず、採用時に自ら告知する労働者(教職員)の採用を進めるべきだ。一般採用後に告知を求める場合も昨年度までと同様に、全員に周知した上で、回答・提出は「同意する。」者の申し出だけに絞るべきだ。厚生労働省もそう指示している。「同意しない。」者に回答を求めることは、実質的に障害の告知を迫ることになり、人権侵害性がある。また市教委は今回の調査用紙の冒頭で、「同意する。」「同意しない。」だけでなく「回答したくない。」を加えた3択にしている。「回答したくない。」回答用紙を全員に提出させること自体が、パワーハラスメントになる。

 ・なお、市教委の「調査用紙には「業務命令として回答を求めるものではないこと」の旨・・・を明示しています。」という回答は事実と違い、その文言は一切書いていない。「本調査へのご理解のうえ、ご協力お願いいたします。」とは書いているが、逆に、「教職員のみなさまへ 調査への協力のお願い」文書で、「3 提出期日・提出窓口」に日程を明記し、「校園長に提出してください。」と指示している。

この調査用紙での悉皆調査は、中止すべきです。

  以上です。

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