「授業再開に不可欠な教育条件・勤務条件」についての追加の質問と要求

2020年6月16日

大阪市教育委員会 様

                            なかまユニオン・大阪市学校教職員支部

前略。以下の質問と要求について、説明・回答を早急にいただくことを申し入れますので、よろしくお願いします。

1. 6月15日からの通常授業は、大阪市がレベル1になることが前提とされている。大阪府全体で判断す る場合も含めて、大阪市がレベル2からレベル1に変わる科学的根拠に基づく指標は何か。また、大阪市は何日の時点でレベル1に変わったのか。

2.通常授業については文部科学省の作成した座席図を使っているが、文科省文書自体が「座席の間隔に一律にこだわるのではなく、・・・」と書いている通りで、40人学級のままでは同文書にある「1メートルを目安に」間隔をとることは絶対に不可能だ。今後の第2次感染を防ぐために、少人数学級の実施が不可欠だ。また、この2週間の分散登校(20人学級)の体験で、現在の教員数のままでは過労だが、「一人ひとりの子どもとコミニケーションが取れ、教育効果が高い適正人数だ、と再認識した。」という教員の声が多くある。正規教員増の政府への予算要求と、学校統廃合の停止・見直しが要るが、当面直ぐに大阪市独自で少人数学級化するための施策として、何を検討しているか。

3. 発熱者と負傷者の看護を分離することや、校内の消毒業務担当が集中しがちなこと等で、保健室の養 護教諭の過労が急増している。早急に労働時間の実態を把握し、臨時に養護職員や看護師を配置する必要があるが、どう考えているか。

4. 市教委「対策マニュアル(第3版)」では、「トイレ清掃を児童生徒にさせる際には、教職員が監督 につき、清掃中に、特に便器付近で水しぶきの飛び散ることがないよう、清掃方法を工夫すること。」としているが、トイレは感染の可能性が高く、子どもに担当させるべきではない。また教職員だけが担当している学校の場合、学級担任以外の特定の教員に集中してその教職員の感染リスクが高まっている現状がある。第2次感染防止のための臨時措置として、トイレを始めとした校舎の消毒・清掃について専門業者と契約して人員配置し、教職員の過労を軽減する必要があるが、どう考えるか。

5. 新型コロナウィルスについて教職員間に知識や認識に大きな差があり、第2次感染防止のために早急 に研修を保障すべきだ。またその場合、3密の会議を避け、Web研修を活用する必要があるが、どう考えるか。

6. 年間授業日数の確保を機械的に優先し、夏休みの短縮・土曜授業・7時間目授業等を導入するのではな く、カリキュラム削減と授業内容の精選を行い、教育内容を保障する必要がある。また大学と高校の入試については、出題範囲の限定や日程の変更を文科省と府教委に要請することが必要だ。さらに府のチャレンジテストについては、中学3年生だけでなく中学1・2年生対象テストも中止し、今年度については、各市教育委員会・学校の意見を聞き、他府県同様の各校の評価基準による評定評価をすべきであることを、大阪市教委からも府教委に要請してほしい。これらについて、どう考えているか。

7. 大阪市立高校の現状(6月1日公表)では、在籍生徒12,054人の62%の7,490人が電車等の公共交通機関を利用して通学している。第2次感染防止のために、民間企業で広がっている時差通勤を教職員について進めるとともに、各市立高校ごとの生徒の通学実態に応じて、始業時間を数十分~1時間程度遅らせる等の努力を市教委から校長に通知すれば、リスクを低減することができるが、どう考えているか。

8. 非常勤講師について、今後夏休み等に授業が組まれて出勤した場合、年度末までに年間雇用契約の 35週分を超える時は、36週分以降の必要な授業時数分の手当てを支払う必要がある。そのための予算措置について、どう考えているか。

9. 子ども全員分が突然配付された「フェイスシールド」について、市教委は「校長や職員団体・組合を 始めとする教職員、保護者、子どもからの声は全くなかったが、市教委事務局と市長で考えて決めた。」としている。これに対してその後「大阪府医師会 学校医部会」は6月9日付の大阪市教委宛の「フェイスシールド活用に対する意見」で、「教職員が体調不良の生徒に対応するなどの特定の場面で使用し、生徒に一律装着を促す必要はないと考えます。」「デメリットの方が大きいと考えます。例えばプラスチックの断面が当たることによる外傷、視界を妨げることによる事故、熱が籠ることによる熱中症の助長、頭部を締め付けることによる頭痛や集中力の低下による学習の妨げなどが考えられます。さらに過剰な感染予防対策は不安を助長し、児童の精神衛生上にも問題があると思われます。」「生徒に関しては原則不要とし、」と、厳しく批判しています。公教育を担う「学校医部会」の意見は重要です。大阪市教委がこれを校長に知らせずに1週間後の現在でも無視していることは、行政責任として犯罪的です。熱中症の季節を迎え、この「意見」を至急に校長に通知すべきですが、担当課はなぜ通知しないのか、明確に説明してください。

10. 以下は、抗議と要請です。

市教委はその後、病院用に市民に寄付を募った医療用ガウンの代用の「雨ガッパ」の殆どの数十万着が市役所本庁舎玄関ロビーに積み残されている中で、そのうちの1万着弱(各学校20着)を突然全学校に配付処理しました。学校現場で要求していないものを、しかも超多忙の教職員に「市役所へ受け取りに来るように。」というのは、もはや「パワーハラスメント」レベルの愚策です。第2次感染も想定される今後のコロナ対策の教育条件整備については、決して思い付きやパフォーマンスではなく、先ず何よりも校長や教職員団体を通じた学校現場のニーズを把握してから、専門家の意見も踏まえて対処することを、強く要請します。

以上です。

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