「担任がいない!」=常勤講師の長期大量欠員状況を至急に抜本的に解決し、子供たちの学習の保障と、教員の超過労「兼務」状態の正常化を求める要求書

2018年9月11日

大阪市教育委員会

教育長 山本 晋次 様

なかまユニオン大阪市学校教職員支部

支部長 笠松 正俊

 前略。以下の勤務労働条件に関する内容を要求し、至急に団体交渉を申し入れます。

〇 要求内容

1.大阪市の小中学校で数年間続く、病休・産休・育休者の代替講師の大量欠員状態を直ちに完全解消するために、必要な緊急の補正予算措置等を教育委員会と市長の責任で行い、子どもたちの学習を保障し、学校現場での臨時の「兼務」で超過重労働が続いている教員の勤務労働条件を至急に正常化すること。

2.大阪市の教育行政として、「学級担任がいない!」という法律違反の状態が長期間続いている、講師の欠員の完全解消を当面最優先し、学力テスト結果をボーナスと学校予算に反映させるという吉村市長発言の方針を、撤回すること。

〇 要求理由

 ・大阪市の小中学校ではここ数年来、授業だけ担当する非常勤講師のみならず、学級担任等の常勤講師の大量欠員状態が続いている。市教委は今年7月1日時点では、常勤講師の欠員数を、小学校40名、中学校4名、計44名、と私たちの組合の質問に対して回答し公表している。大阪市立の約430校の中で多くの学級の担任がいないままで、2学期が既に始まっている。

 ・急な病休者だけでなく、予定がわかっている産休・育休者の代替講師についても、校長が申請しても、教育委員会は任用して配置できていない。

 ・非常勤講師の配置を含めて、在籍し通学している子どもたちの「担任がいない!」、教育を保障できていないのは、文字通りの違法状態だ。

 ・欠員のままの学校現場では、その時に障害児学級に配置されている講師を普通学級の担任の代替に充てる校長もあり、特に障害児学級がより欠員状態がひどいようだ。障害児学級は1学級の担任1人で複数の子どもを担任する。複数学級の場合は担任全員で在籍の子ども全員を分担して指導するので、教員の欠員は隠されているが、実際は子どもへの指導は薄められ、教員の過労は蓄積している。

 ・大阪市が公式に掲げてきた「障害児の地元地域での教育保障」はもはや看板だけになっていて、教員の加配どころか、法定の教員数すら配置されていない。

 ・普通学級、障害児学級を問わず、欠員のままでも子どもたちがいる以上、多くの学校では教頭を含む他の教員が、本来の担当・担任に加えて「兼務」で応急の指導に当たらざるを得ず、教員の過労状態は限界になっていて、それがまた病休教員を生むという悪循環も広がっている。

 ・市長と教育委員会が現状を「長期の法律違反の非常事態」と認識し、必要な補正予算措置を含めて判断して抜本的な措置を取り、欠員状態を至急に完全に解消することは、当面の教育行政の最優先の責任だ。

 ・特に障害児学級については、常勤者がどうしても欠員なら、非常勤講師を複数雇用して代替に当てることも、当然できるし措置すべきことだ。ここ数年間で、大阪市では数多くの教員が60歳定年または途中で退職している。障害児学級担任の経験者も数多くいる。市教委が責任をもって「非常事態」を公表してアピールすれば、フルタイムは心身ともにきついが、非常勤ならがんばって応じるよ、という人もいると思われる。

 ・講師登録者が長期に欠員の根本原因は、維新市政が続けてきた、子どもにも教職員にも競争と管理を強要する教育施策が嫌われて、希望者が他市へ逃げている実態がある。その根本的な反省と見直しが急務だが、学テ結果をボーナス等に反映させるとする今回の吉村市長発言については少なくとも撤回し、法定数の講師の欠員の完全解消に全力で当たることとそのための予算措置を、山本教育長を先頭に教育委員会から吉村市長に要求すべきだ。

 ・吉村市長は8月2日の記者会見で、「そうした厳しい評価になったら先生のなり手がいなくなるんじゃないですかと言うかもしれませんが、もう、そうであったら来てもらわなくていいですよ、そういう先生は。・・・・もう来てもらわなくて結構です。」と言い放った。欠員の学校の子どもたちを放置すると言うのなら、完全に市長失格だ! 大阪市の学校の困難な現状は、そもそも市長発言のようなことを論議しているような場合ではない!

タイトルとURLをコピーしました