本件訴訟の法的意義

        2020 年 9 月 17 日

                    原告訴訟代理人

弁護士 藤原 航

弁護士 櫻井 聡

1 訴状における請求内容

(1)自宅勤務(テレワーク)をした

・在宅勤務を行ったにも関わらず,欠勤扱いをした

→欠勤扱いにされた日数に対応する賃金及び賞与の請求

11万8034円の未払賃金及び1万4464円の未払い賞与の請求

(2)本来認められるべきであった「自宅研修」が認められなかった

  • 自宅での研修を認めなかった学校長の裁量権の濫用逸脱に基づく損害賠償
  • 裁量権の濫用逸脱の理由としては,①本来考慮すべきでない事項(教育委員会の誤った「指導」)を考慮した,②考慮すべき事項(未曾有のコロナ禍で可能な限り外出を自粛するという)を考慮していない

 →欠勤扱いされた日数に対応する賃金及び賞与の損害賠償

  11万8034円の未払賃金及び1万4464円の未払い賞与額の損害賠償

(3)違法な出勤命令を受けた

  • 業務遂行が不可能又は困難なことの強制であり,業務上の合理性がないため,パーハラスメントに該当する
  • 学校長による出勤命令は,労働者の人格権を不当に侵害するものであり,業務命令の裁量を逸脱・濫用したもの

 →出勤しなければ欠勤とされるリスクと,出勤をして不特定多数に感染させるかもしれないリスクで苦悩。精神的慰謝料として100万円の損害賠償請求

2 本件訴訟で明らかにしたいこと

①大阪市教育委員会の誤った「指導」

  • 平成22年7月9日付教委校(全)第49号6(2)を硬直的に適用
  • コロナ禍における当時の社会情勢のほか,令和2年2月28日付元文科初第1585号,令和2年3月17日文科省担当課の事務連絡の記載内容(在宅勤務や職務専念義務の免除等の措置を推奨する趣旨)は無視  
  • 大阪市教育委員会の「指導」と学校長の権限との関係

②原告の陳情を大阪市が放置したこと

  • 3月27日大阪市保健所の電話相談で欠勤扱いの対応を相談したが,検討されず
  • 4月10日大阪市新型コロナウイルス感染症対策本部長松井一郎市長宛てに要請書を提出したがそれでも検討されず
  • 大阪市が喧伝しているコロナ対策の姿勢と実際の現場との矛盾

以上

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