2017年再任用拒否国賠訴訟 梅原組合員 控訴審で逆転の勝利判決!

控訴審までの経過

 梅原組合員は、卒業式の「君が代」斉唱時の起立斉唱の職務命令違反で二度の戒告処分を受けたことと、「今後、卒業式等における国歌斉唱時の起立斉唱の職務命令を含む上司の職務命令に従いますか?」という意向確認に答えなかったことを理由に再任用を拒否され、国賠訴訟を起こしました。一審大阪地裁は府教委側の言い分を丸呑みする不当判決を出したため、すぐに控訴しました。

 控訴審では、一連の最高裁判決を大幅にコピペした地裁判決を批判し、次の2点を中心に主張しました。一点目は「意向確認」がキリシタンの踏み絵と同様のもので、思想良心の自由を侵害するということ、二点目は、梅原組合員の再任用の時点での情勢においては再任用における裁量権は一定の制約を受けるものであり、府教委の判断は裁量権の逸脱・濫用にあたるということです。およそ1年をかけた審理の末、12月9日、大阪高裁で府に約315万円の賠償金の支払いを命じる勝利判決を勝ち取りました。

逆転勝利の高裁判決

 判決では、総務副大臣通知が出されるなど雇用と年金の接続を求める社会的要請があったことや、再任用希望者のほぼ全員が採用されている実情などから、再任用されることへの合理的期待が生じ、他の再任用希望者と平等な取り扱いを受けることを強く期待する地位にあったとしています。その上で、不起立で戒告処分を受けた梅原組合員が再任用を拒否される一方、同年に体罰で減給という重い処分を受けたA氏が再任用に合格している状況は、合理性を欠くと判断しました。加えて、梅原組合員の勤務実績についての校長内申がすべて「適」であったことや過去の「君が代」処分の最高裁判例を引いて「事案の性質等を踏まえた慎重な考慮を必要とする」こと等をあげ、府教委の判断は客観的合理性や社会的相当性を著しく欠くもので、裁量権の逸脱・濫用にあたり、違法であると断じました。

 このように、高裁判決は裁量権については私たちの主張を反映させ、再任用拒否を裁量権の逸脱・濫用にあたるとして府教委の賠償責任を認めました。一方、最も強く訴えてきた「意向確認」の問題についてはほとんど触れることなく、ほぼ原判決を維持して、「意向確認」は違憲・違法とは認められないとしました。しかし、この判決で、「君が代」不起立者を再任用から排除することがはっきり違法とされ、また、これまで府教委が不起立処分者を差別的に取り扱ってきたことが明確になったわけです。今回の勝利判決を受けて、ご支援下さった皆さんと、歓びを分かち合い、今後の運動を進めていく上での大きな力にしていきたいと考えています。

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