2021年11月1日「協議」に向けての質問

久保敬校長に対する「文書訓告」にかかわる8月27日付「要請並びに質問」への回答について 2021年11月1日「協議」に向けての質問

2021年10月25日

大阪市教育委員会 教育長  山本 晋次 様

教職員なかまユニオン(担当連絡先・笠松)

私たちは、8月27日付で『大阪市立木川南小学校 久保敬校長に対する「文書訓告」に抗議し、撤回を求める要請並びに質問』を提出し、10月11日付で文書回答を受け取りました。しかしながら、4つの質問に対する回答はいずれも納得できるものではなく、「文書訓告」の撤回を求める要請については直接の回答がありませんでした。「協議」を実りあるものにするため、以下、質問しますので、「協議」冒頭で回答いただきますようお願いします。

【質問1】8.27「要請並びに質問」の質問事項1「久保校長に対する文書訓告には「あなたの行為は、職務上の義務に違反する」とありますが、どういう国内法令に違反することを指すのか、一切書かれていません。『職務上の義務』とは何を指すのか明らかにしてください。」という質問に対する回答は「教職員の非違行為につきましては、地方公務員法及び大阪市職員基本条例に基づき厳正に対処しております。また、職務上の義務とは、法令または職務上の命令によって課せられるものです。」でした。これはまったく回答になっていません。再度、質問します。

①文書訓告にある「あなたの行為」が指しているのは、久保校長の以下の行為で間違いありませんか。

「本市の学校現場全体でお粗末な状況が露呈し、混乱を極め、子どもの安心・安全が保障されない状況を作り出している」と断じ、「学校はグローバル経済を支える人材という『商品』をつくり出す工場と化している」とする記述を含む提言を、3人の知人に提供したこと、及び、知人を介して連絡のあった第三者に対してフェイスブックへの掲載を許可したこと。

②この「あなたの行為」は、どんな「職務上の義務」(法令または職務上の命令によって課せられた義務)に違反しているのですか。具体的に答えてください。

【質問2】8.27「要請並びに質問」の質問事項2「2021年5月20日に行われた大阪市教育こども委員会において、教職員服務監察担当課長は『現在、確認されている事実を踏まえると【公正に職務を執行し、その職務や地位を私的利益のために用いてはならず、また、市民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない】と定める職員基本条例第 4 条に違反する可能性が考えられている』と答弁しています。今回の文書訓告は、職員基本条例第4条には当たらないという判断の上で出されたと理解していいですか。」という質問に対する回答は、「上位の法規範である地方公務員法第 33 条が規定する信用失墜行為に該当すると考えたことから、今回の事案が職員基本条例第 4 条に違反するかどうかまで具体的に検討する必要がありませんでした。」というものでした。この回答の意味について確認します。

①【質問1】で確認した「あなたの行為」は、職員基本条例第4条違反と認定しなかったということですね。

②地方公務員法第 33 条は、「(信用失墜行為の禁止)職員は、その職の信用を傷つけ、または職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。」です。【質問1】で確認した「あなたの行為」が、どういう意味で「その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為」であったのか、具体的に説明してください。

③「信用失墜行為」の「信用」ということばは、市民の「信用」を意味します。久保校長に対する「文書訓告」を公表した大阪市教育委員会のホームページの「ご意見」欄に180通の意見が寄せられています。それらの意見についてどう考えていますか。久保校長の行為を「文書訓告」にした大阪市教育委員会の行為こそが信用失墜行為にあたるのではありませんか。

【質問3】8.27「要請並びに質問」の質問事項3

今回の文書訓告は、大阪市教委が尊重義務を負っているILO/UNESCO『教員の地位に関する勧告』の第63項(※1)、第80項(※2)に合致しないのではありませんか。見解を明らかにしてください。

(※1)≪職業上の自由

パラ63 いかなる指導監督制度も、教員の職務の遂行に際して教員を鼓舞し、かつ、援助するように計画されるものとし、また、教員の自由、創意及び責任を減殺しないようなものとする。

(※2)≪教員の権利

パラ80 教員は、市民が一般に享受している市民としてのすべての権利を行使する自由を有し、また、公職につく資格を有するものとする。」

に対する回答は、「『教員の地位に関する勧告』につきましては、法的拘束力はございませんが、趣旨にできるだけ沿うように対応しております。」でした。この回答の意味は、「趣旨にできるだけ沿うように対応しているが、今回の措置は合致していない」という回答だったと理解していいですか。

【質問4】8.27「要請並びに質問」の質問事項4「久保校長の提言は、競争社会によってこどもたちの個性や願いとは別に『商品』化していくことの懸念を表明されたのであり、子ども達に『競争社会で生き抜け』と子どもたちを『商品』化した見識を示した松井市長こそが不適切な子どもの捉え方であり、日々業務に励む関係教職員らの努力を蔑ろにしたものと考えますが、見解を示してください。」に対する回答は、「当該校長の提言に『学校は、グローバル経済を支える人材という【商品】を作り出す工場と化している』との記述があり、これが比喩的な表現であることを考慮しても、児童生徒を『商品』に例えていることから不適切な表現であるとともに、日々業務に励む関係教職員らの努力を蔑ろにしたものであること等を踏まえ、教育委員会において、文書訓告を決定しています。」でした。「日々業務に励む関係教職員らの努力を蔑ろにしたもの」の意味を具体的に説明してください。また、「日々業務に励む関係教職員らの努力を蔑ろにしたもの」については、事情聴取の過程でも全く問題にされていませんでした。久保校長の具体的行為が職員基本条例第4条違反にならないことがはっきりした段階で、地方公務員法第33条「職の信用を傷つけ、または職員の職全体の不名誉となるような行為」の根拠とするために無理やり持ち込んだ表現ではないですか。

【質問5】松井市長は、校長であっても意見を述べることは自由で、条例や教育振興基本計画で義務づけられた職務に反した「行為」があれば処分対象と言っていました。今回の文書訓告にある「あなたの行為」は、意見表明にかかわる「行為」なので、文書訓告の対象にならないのではないですか。

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