「コロナ在宅勤務不払い裁判」第5回口頭弁論(2021.7.5)の報告

大阪市は、欠勤扱いを防ぐため、校長が「自宅での研修」(=在宅勤務)を認めていた事実を否定できず、3つの論点について裁判が進むことが確定

「コロナ在宅勤務不払い裁判」の第5回口頭弁論は、7月5日(月)13:30から大阪地裁809号法廷で行われました。一席ずつ空けた傍聴席定員18席の法廷に対して30人近くの方に来ていただきました。傍聴いただけなかったかった方には申し訳ありません。閉廷前に、藤原弁護士から、入りきれない人が大勢いるので、大法廷を希望することを表明してもらいました。

口頭弁論では、原告側からは、4月20日付原告第2準備書面6月1日付原告第3準備書面6月30日付請求拡張申立書を陳述しました。被告側からは、6月30日付被告第2準備書面の陳述がありました。4月20日付原告第2準備書面は、原告主張を3つの論点に整理したうえで、その一つの論点である「出勤命令が違法であること」にかかわって、被告第1準備書面の主張「原告の欠勤によって学校は大きな迷惑を被った。被告は原告に出勤を命ずる必要性があった。」に、事実に基づいて反論するものでした。時系列にできごとをまとめた事実経過の表も別紙としてつけていました。前回4月26日第5回口頭弁論での原告の第2準備書面陳述前に、中山誠一裁判長が、「判断の内容は、『出勤命令が違法であること』だけでいいのではないか。働いたことに対する給料支払いや自宅での研修を認めなかったことの違法はその判断の中に含まれるから。」と言いました。それに対して、弁護団から、「3つの論点についてそれぞれ判断を求めたい。次回口頭弁論に向けて、もう一度論点を整理して主張する書面を提出する。」と表明しました。その書面が6月1日付原告第3準備書面です。請求拡張申立書は、2020年9月17日提訴後、2020年12月10日支給の勤勉手当が欠勤を理由に減額されたため、請求額を増額する書面です。被告第2準備書面は、原告第2準備書面に対する反論で、別紙の事実経過についても、それぞれの事項に対して認否を行っています。

裁判長は、原告第3準備書面についてコメントすることなく陳述を確認しました。今後の裁判は、原告主張の3つの論点について、それぞれ主張が戦わされる流れになります。

原告に対する人格攻撃を前面に出した被告第1準備書面に対して原告は第2準備書面で事実に基づく反論を行いました。そのために、被告第2準備書面では攻撃的トーンは小さくなり、事実経過の認否では、校長が、原告の欠勤による減給を防ぐ目的で、一時は「自宅での研修」を認めていた事実を追認するものになっています。(被告第2準備書面での認否に基づく「被告の認識(主張)する事実経過」参照)

被告第2準備書面の主張のポイントは、原告が4月2日に提出した初任者研修報告書(校長責任の市教委に対する報告文書)案は「欠勤」中に原告が自宅で作成したものと決めつけて(根拠は「4月1日に出勤して提出するまでの時間が短いから」のみ)、提出した研修計画記載内容と違う、学校でやるべき仕事を自宅でしているのだから出勤の必要性があったというものです。しかしながら、この書類は学校の校務支援パソコンでしか作成できないものです。学校関係者ならだれでも知っているはずのことではないでしょうか。事実は、スイス渡航前にはかなりの部分を作成済みであり、4月1日に出勤し、まだ市教委に提出できていない(校長責任で報告書を作成していない)ことを確認して、その後、残りの部分を打ち込んで提出したという経過です。前提事実が違うまったく失当の主張といえます。被告第2準備書面では、当時のヨーロッパから帰国した者が新型コロナ感染症を広げていた事実を認めています。原告の「欠勤扱い」を新型コロナ感染症対策本部長・松井一郎市長に報告し、再検討するよう求めた原告と組合の要望を拒否した大阪市にこそ、経過と理由の説明が求められます。

場所を弁護士会館に移しての報告集会では、今回の口頭弁論で明らかになったことの説明を、藤原弁護士、櫻井弁護士から受け、質疑を通して理解を深めました。また、原告(松田さん)から、『「コロナ在宅勤務不払い裁判」で検索すると、大阪市ホームページに載っている「もし私が原告と同じ立場にあったら、やはり勤務場所には行きません」「市教委は在宅勤務を認めなかったのかその説明を求めます」などの「市民の声」への投稿を見ることができる。さらに支援を広げ、勝利したい。』との決意表明がありました。

次回第6回口頭弁論は、9月27日(月)13:30です。双方から相手方書面に反論する書面を提出する予定です。

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