大阪府教育委員会への要求書(2021年2月1日)

なかまユニオン学校教職員支部

コロナ禍の中でなかまユニオンとして、5月以降、貴委員会に3度にわたって要求書を提出し、協議や交渉申入れをしてきた。このうちの一部(非常勤講師も含めた在宅勤務や追加時間数への財政措置等)は認められたものの、その多くは未だに要求を継続しなければならない状況であると言わざるを得ない。そこで以下、引き続いて緊要の要求として交渉を申し入れるものである。

〔1〕卒業式での「君が代」起立・斉唱の強制の通知・指示を撤回すること

貴委員会は、1月21日の教育長名での府立学校校長・准校長宛の「卒業式における国旗掲揚及び国歌斉唱について(通達)」において、今年度「卒業式については、国旗を掲揚し、新型コロナウィルス感染症対策を徹底する観点から、…国歌は起立により清聴することとする。ただし、十分な身体的距離の確保等の感染症対策を講じることが可能な場合においては、国歌は起立により斉唱することができることとする。教職員に対しては、学校での国歌の取扱いに対応した職務命令を行うこと」としている。

さらに関係府立学校教職員宛に、「式場内のすべての教職員は、国歌は起立して」清聴(斉唱)すること、と2種類の通達を発出。また別紙の「留意事項」において「会場において卒業生・教職員の間隔を前後方向及び左右方向ともに2m(最低1m)確保できる場合においては、上記によらず、国歌や校歌の斉唱、卒業の歌等の合唱 等(多人数が発声をする場面)を行うことができる。」と指示している。

周知のように、現在、東京・大阪をはじめとして新型コロナウィルス感染の拡大・緊急事態宣言の中で、飛沫感染を避けるために授業等でも歌唱をしないことを文科省においても指示している。こうした状況下で多くの自治体では「国歌清聴」や場合によっては国歌そのものの実施もしなくてもよいとの対応を取っている。

そもそも卒・入学式等での「君が代」起立・斉唱の強制は、思想・良心の自由を侵すものであり、教職員への「君が代」起立斉唱の職務命令の発出ならびに生徒・保護者への強制はあってはならないものである。

まして、今現在の感染の危険性に対して最大限の配慮をすべき時に、あえて校長や現場に責任を押し付ける形で「斉唱」の選択をせまることは、およそ学校での安全、生徒・教職員の命と健康を守るべき教育委員会としてあり得ない通知・指示である。ただちに撤回することを要求する。

〔2〕チャレンジテストを廃止し、「すくすくテスト」についても導入をしないこと

当組合は、6月16日にも「チャレンジテストについては、中学3年生のみならず中学1・2年生対象テストも中止し、今年度については、各教育委員会・学校の意見を聞き、他府県同様の各校の評価基準による評定評価をすべきである」と再度の要求。しかし貴委員会は6月19日に、今年度からの新制度の下でのチャレンジテストの継続を決定。これに対して、当組合は7月6日に、新制度での決定撤回とともに1・2年チャレンジテストの中止と他府県同様の各校の評価基準による評定評価をすることを要求している。ところが、現在、貴員委員会は現在第3波のコロナ感染拡大の中で、密な教室での換気等による感染防止対策や授業時間の確保等々、不安とストレスにさらされている生徒と教職員の現状を思い図ることなく、1月13日に中学1・2年生のチャレンジテストを強行。さらに、加えて「小学生すくすくテスト」まで新たに提起し、府下の全小学校での実施しようとしている。教育現場に無用な負担と混乱をもたらしているチャレンジテストを廃止し、他府県同様の各校の評価基準による評定・評価をすること。「すくすくテスト」を導入しないことを重ねて要求する。

〔3〕PCR検査の拡充、感染防止のための資材の配備を早急に行うこと

新型コロナウィルス感染の第3波の拡大の中で、学校の生徒と教職員の感染者も7月以降急増している。しかし、大阪府においては、多くの保健所と教育委員会は、「濃厚接触者→PCR検査者」をごく少数に絞り続けている。その結果、感染者が出た学校においても、PCR検査を受けている生徒・教職員はごく少数に限られているのが現状である。

「濃厚接触者」の基準は「1m以内、かつ15分以上、かつマスクなし」とされている。しかし学校の教室は40人学級の超過密で、15分どころか一日中をともに過ごしている。不織布マスクですら(まして生徒が多用している布マスクが)ウイルスを遮断することはできない以上、「マスクをしている」ことだけを根拠に「濃厚接触者から外す」ことでは、全く感染防止にならない。治療法とワクチンがまだない中での感染防止策は、「PCR検査の徹底拡大で感染者を早期発見し」「発症と、軽症者の重症化を止める」ことに尽きるといえる。長時間にわたって過密になる学校現場では、生徒の感染防止と、教職員の安全衛生環境の保障は不可分である。生徒の学校生活の安全安心のためにも、大阪府教委から各市町村保健所に要請して、感染校での感染可能性の高い生徒(少なくとも所属クラス・部の生徒全員)と全教職員のPCR検査を至急に実施するようにするべきである。

①学校の子どもと教職員の感染発生に対しては、濃厚接触者の基準(実質的にマスクなしの者)に限定せず、安全と安心のために、感染可能性の高い生徒(少なくとも所属クラス・部の生徒全員)と教職員全員のPCR検査を実施すること。

②学校での感染防止や消毒作業についても、十分な器具や物資(非接触の体温計・防護服や消毒薬等)を配備し、生徒・教職員の負担と感染危険性のもとでまかされることがないように早急に対策を取ること。

4〕公共交通機関での感染防止のため、生徒の登校実態に応じて、教職員の在宅勤務と時差出勤(勤務時間の割り振り変更)を推進すること。公共交通機関で通学する生徒が多い高校については、始業時間自体を1時間程度遅くして、感染防止を計ること。教職員の時差通勤・在宅勤務を可能にする授業編成・人員配置を推進すること。特に高校では始業時間の1時間程度の繰り下げ等による満員電車緩和を推奨すること。教職員の時差通勤や特に妊娠中の女性教職員等の通勤緩和・休業の取りやすさにもつながるものとして、各学校での時間割・授業編成も含めて、配慮することを校長に通知すること。

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