声明 なかまユニオン学校教職員支部(教職員なかまユニオン) 2025年5月7日         給特法改定案反対 教員への残業代支給と人員増こそが必要

 現在、国会で審議されている給特法改定案は、現行法での「教職調整額」(給与の上乗せ分)4%を毎年1%ずつ引き上げて、2031年には10%(月16時間程度の残業相当)とするもので、教員の長時間労働と待遇の改善を名目としています。

 1971年に当時の全野党の反対を押し切って可決された給特法は、①教員に時間外勤務を命じることができるのは、「校外実習」「修学旅行」「職員会議」「非常災害」の超勤4項目に当てはまる場合であって、「緊急のやむを得ない必要があるとき」に限られる②それに見合う月8時間程度の残業代に代わって基本給の4%を支給するとするものでした。そしてこれを根拠に政府・文科省は、これ以外の多くの超過勤務は教員の「自発的に行ったもの」として残業時間として認めないとしてきたのです。

 その結果、週当たりの残業時間では、1966年小学校1時間20分中学校2時間30分2022年には各々20時間34分25時間14分になっているにもかかわらず、残業代は支給されてきませんでした。一方で教育現場の課題が増大する中で、教員が教材研究や児童・生徒と向き合う時間も取れず、「精神疾患による病休者」は、2023年には7千人を超え、過労死も起きています。そして産休・病休等での欠員が補充されないままで、さらなる過重な負担となり、児童・生徒の教育にも支障が出ています。

 ところが今回の改定案では、これまでの給特法の枠組みは維持したまま。これでは、退勤の強要持ち帰り残業の増大、さらにわずかな「給与改善」で長時間労働も我慢せよ、となりかねないものです。しかも来年度予算案では、調整額1%引き上げ(月3000円程度)の一方他の教員手当の削減で、差し引き月1500円程度の「給与改善」にすぎません。また政府が今国会で「主務教諭」の法制化し、教員を上下に分断し、上意下達の学校運営を強めようとしている問題もあり、この現法案には反対を表明するものです。

 今、必要なことは労働基準法で全労働者に適用されている残業制度を教員に導入して、残業代を支給すること。そのうえで残業に割高な賃金支給を義務付けて使用者のコスト意識に訴え、業務削減や長時間労働の改善につなげることです。本来は、現行法の下でも超勤4項目以外の時間外勤務が発生した時点で、労働基準法違反に当たるはず。それを労働時間と認めないのは、「行政の範囲を超えた労働基準法の書き換えであり、この越権行為が教師の過労死直前の状態で働く労働環境を生み出し、全国的な教員不足を招く要因を作り出している」(4/25、衆院文部科学委員会高橋哲参考人)のです。例えわずかな業務削減や定数増がされたとしても、この枠組みが変えられない限り、問題は解決されません

 そして根本的には労働に見合う教員定数増こそが必要であることは言うまでもありません。なかまユニオンは、産休・病休等での欠員については、非正規講師での補充ではなく、毎年予想される人数分を採用増して正規教員で充てること等を当面の対策として、教育委員会や文科省に要求しています。こうした現場での苦闘に応え、真の解決につながる法案への審議がなされるよう、切に訴えるものです。

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