不当人事評価の是正を求める団体交渉要求書を提出 2025.8.28 

要求内容:事実認定に基づかない校長による恣意的な「評価」による大幅な給与削減を是正し、不当な損害を回復すること

要求書

2025年8月28日

大阪市教育委員会
教育長 多田 勝哉 様

なかまユニオン・大阪市学校教職員支部
支部長 笠松 正俊

前略。

 A主務教諭(B小学校)が、本組合の組合員であることを通知します。

 組合は現行の教職員人事評価制度の検証と改善を要求し続けてきていますが、A組合員の2024年度末の人事評価結果は、その現行制度の問題点が全面的に露呈した、校長による恣意的な「評価」と大幅な給与削減であり、教育委員会もまた現時点でその誤りを是正できていません。

 組合は以下の要求を提出し、団体交渉を申し入れます。

1、 要求

  A組合員の2024年度末の人事評価結果について、事実認定に基づかない校長による恣意的な「評価」による大幅な給与削減を是正し、不当な損害を回復すること。

2、 要求の理由の要点

(1) 評価者の校長が、現行制度を理解できていない。
・下位評価である第4区分評価が、昇給や勤勉手当の減額に直結し、退職金を含めて生涯賃金の大幅減額になること自体を理解していない。(校長は、「そんなに急に下がる訳ないやろ。」と発言し説明していた。)
・当校の同年度の評価結果で、対象教職員13名中3名が第4区分で、23.1%に上る(なお懲戒処分者や無断欠勤者はいない)。大阪市全体の平均が1.3%なので、異常に突出している。
・第4区分とした根拠事実の説明が、評価以後に何度も変わり、評価以降にあった事実経過まで持ち出されている。
・年間目標の達成や担当の業務については大きな問題はないと言いながら、「キャリヤも考えた時に、期待レベルに達しているとは思わなかった。」「5年目までの若手の人たちと、同じ基準ではやっぱり測れない。」と後から説明し、校長の主観による評価であることを公言している。

(2) 教育委員会が、校長の不公正な評価結果を是正していない。
・当初第4区分の理由とした事実の認識の誤りを認めた校長が、4月に第3区分への訂正をAさん本人に約束し教育委員会に相談したが、市教委は「新年度に入っているから訂正はできない。」という理由だけで事実誤認の問題には言及せずに受け入れなかった。
(なお加えて校長は、その結果をAさん本人には、全く伝えなかった。市教委に苦情申し立てをした面談の場で、Aさんは初めてその結果を市教委の担当者から聞かされた。)
・Aさん本人は市教委に苦情申し立てをしたが、市教委担当者は本人への聞き取りで、「校長先生が  各先生方の仕事の様子を確認されている評価ですから、我々がそれは間違ってますよって言うようなものではありません。」と対応し、評価根拠の事実の誤りを把握すること自体を放棄した。
・そもそも今回校長は、年度末の評価結果を職員室で各教員に手渡しただけで、結果の面談はしていない。上記(1)等のいろんな「説明」は、Aさん本人の方から下位評価に驚いて理由の説明を求めに行って初めて話された。市教委は5段階のどの評価結果であっても評価結果の面談を制度で規定しているが、年度末の多忙の中で、現実には多くの学校で多くの校長が、面談を行っていない。
(その事実は、一昨年度から市教委が実施を始めた「評価者・被評価者全員対象の無記名アンケート調査」の集計結果で、明らかにされている。)
・特に本件のように下位評価で減給になる場合にその説明をしないのは、「労働契約法」第4条第1項の「使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。」に違反し、違法性が争いになる。

(3) 給与反映する人事評価は、業務の実行上の事実に基づくことが大前提の制度のはずだが、現行制度の実態はその保障が崩れている。
・苦情申立制度に基づく苦情審査会は教育委員会の職員だけで構成する内部会議であり、第三者機関 のような事実経過の調査は全くしていない。
・説明と納得がない第4区分評価は経済的な損害に加えて大きな精神的打撃にもなっている。同時に 下位評価を受けたAさんの同僚教員も含めて、次年度からも繰り返されるかもしれないという不安が、働く意欲の低下と離職の気持ちを生んでしまっている。
・現行の人事評価制度は、大阪市の教員不足の大きな背景要因になっていると思われる。教員不足を食いとめるためにも、少なくとも事実認定を誤った評価結果については、教育長の責任で教育委員会自身の手で是正することが問われている。

以上です。

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