人事委員会勧告に向けた 要請書
2024年4月30日
大阪市人事委員会
委員長 西村 捷三 様
なかまユニオン・大阪市学校教職員支部
支部長 笠松 正俊
前略。
大阪市教育委員会は昨年度初めて、現行の人事評価制度についての教職員全員対象の悉皆アンケート調査を行いました。その集計結果は既に公表されています。(資料A、B) 加えて私たちは、文章での自由記述欄の内2項目分については、記入者全員分の全部公開を求め、情報提供を受けて読みました。(資料C、D、E、F)
自由記述欄に溢れている「現行の人事評価制度はダメだ!」という意見は、「教育職の評価制度自体に反対。」の人、「評価制度実施には賛成だが、給与反映には反対。」の人、「給与反映も賛成だが、現行制度はダメだ。」という人、のそれぞれの意見の違いを越えて、すべての人に共通しています。
アンケート調査結果の結論として、その検討と抜本的な改革なしに、現行制度をこのままで次年度も継続実施することは余りにも無責任であり、労働意欲の低下と教員の他市流出を増大させることは明らかです。今、大阪市教育委員会(教育長)の対応が問われています。
私たち組合も、そういう大阪市の公教育の一層の崩壊を食い留めるために、以下の「質問と要請」を2月4日付で教育委員会に提出し協議を求めてきました。
「1、質問
➀ アンケート調査の集計結果について、分析・評価・課題・改善策をまとめた文書を作成 済みなら、直ちに情報提供してください。
② もし未作成なら、至急に作成する必要性をどう考えていますか、回答してください。
2、要請
➀ 現行の教職員人事評価制度の廃止に向けて、先ず、評価結果の給与反映を直ちに中止すること。
② 当面来年度の給与反映を凍結し、人事評価制度の在り方を再検討すること。 」
しかし教育委員会の「質問①②」への回答文書(2月9日のメール)は、
「アンケート調査の集計結果についての、評価・改善策をまとめた文書は作成しておりません。
なお、アンケート調査の集計結果については今後の人事評価制度の参考とし、総務局の動向も踏まえ必要に応じて制度の見直しや改善等につなげていきたいと考えております。」
でした。
集計結果をまとめただけで、その分析・考察は「しておりません」と放置しています。新年度の4月18日に担当責任の係長に面談して改めて確認しましたが、
・結果の分析・考察の予定はない。
・上記の「今後の人事評価制度の参考とし・・・」をどうするかは、今年度も前年通りの制度で5月連休明けに校長に通知する際に、「今年度末の結果開示面談で、一人一人の教職員に丁寧に説明して納得してもらう努力をするように指示する」(要旨)だけという説明でした。
教育委員会の全員悉皆アンケート調査は、制度開始以来昨年度が初めてですが、市長部局の方は市職員に対して例年それを実施しています。その中で昨年度は、下位評価の制度運用の改善について、職員の勤務意欲を高めるためという目的で部分的な見直しの制度改定がされました。それと対比しても、教育委員会の今回の分析・考察・制度検証の放置は、行政として余りにも無責任です。
今、なぜ年度途中で辞める教職員や、病休者が多いのか? そもそも大阪市の教職員を受験しない人が多く、代替の講師も集まらないのか? 根本的な検証が教育委員会に問われています。
その背景にある大きな問題が、教職員の協働関係をバラバラにし、トップダウンの管理体制とパワハラ蔓延の温床になっている、現行の人事評価制度です。自分の評価結果のために、管理職は校内で起こる不都合を解決しようとせずに蓋をしてとにかく隠す傾向にあり、年輩の教員も新しい人を助けるより、自分の評価結果を上げることを迫られて、敢えてしんどい児童・生徒や学年を持つことを避け、経験の少ない新任にその担当が押しつけられ、しかもフォローも無いため、病休や退職者が年度途中で多く発生している悪循環になっています。人事評価制度の再検討は、大阪市の公教育を再建するための、必須の課題です。
しかし、教育委員会はなぜか例年以上に早めて4月26日付で既に、ほぼ現行制度のままで、今年度の人事評価制度の実施を校長に通知しました。
以上の経過と現状の中で、今夏の勧告に向けて、大阪市人事委員会に以下を要請します。
〇 要請内容
・教育委員会が昨年度初めて実施し結果を集約した、現行の人事評価制度の悉皆アンケート調査の集計結果を分析・考察し、現行制度を検証して改定を図ることを、
人事委員会から教育委員会に対して勧告すること。
〇 添付資料
・資料A、B 集計結果 (教育委員会の公表)
・資料C、D、E、F 自由記述欄の内、「Q6-2」項目の全員分の記載内容
(教育委員会の情報提供)
・資料G 上記の「資料C、D、E、F」の記載内容についての、私たちの組合の意見
以上です。