2024年12月4日
大阪市教育委員会
教育長 多田 勝哉 様
Democracy for Teachers and Children
~「君が代」調教やめて~(略称 D-TaC)
連絡先:共同世話人 松田幹雄
Democracy for Teachers and Children~「君が代」調教やめて~(略称 D-TaC)が2024年12月4日に大阪市教育委員会に提出した『卒業式と「君が代」指導にかかわる要請書』を紹介します。D-TaCは、2024年6月14日に『卒業式と「君が代」指導にかかわる質問」を提出し、大阪市教委から回答を受けて、9月25日に回答についての協議を行っています。
大阪市教委への質問、回答、協議議事録要旨は大阪市のホームページにアップされています。
大阪市:D-TaC ~「君が代」調教やめて~
その協議での回答に看過できない問題があったので、その是正を求めて要請書を提出したとのことです。
要請書の【要請事項1】は、『卒業式を「卒業証書授与式」と呼んでいる学校があるかどうかについて調査し、戦前の名称である「卒業証書授与式」は使うべきでないと指導してください。』というものですが、大阪市立学校では、特に、中学校で「卒業証書授与式」を使用している学校が多くあります。しかし、公文書に「卒業証書授与式」ということばは一切ないのです。すべて「卒業式」です。「卒業証書授与式」は戦前のことばであり、戦後の憲法・教育基本法の下では、ふさわしくないからです。公文書に一切ない戦前の呼び方をなぜあえて使っているのか、「卒業証書授与式」を使用している学校は、この『卒業式と「君が代」指導にかかわる要請書』提出によって説明を求められることになりました。
※「卒業証書授与式」は戦前の卒業式の呼び名⇒「君が代」調教NO!裁判の小野雅章さん(日本大学教授)意見書P9~P12
ikensho_ono.pdf
※戦前の卒業式の実態⇒「君が代」調教NO!裁判上告理由書「儀式的行事における儀礼的所作とは何か」P9~P27
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要請書の【要請事項2】は、『2024年9月25日の大阪市教委とD-TaCの協議等議事録(要旨)にある、大阪高裁2009年9月9日判決と子どもの権利条約理解にかかわる意見(別紙)に対する見解を示してください。』というものです。「大阪高裁2009年9月9日判決と子どもの権利条約理解にかかわる意見(別紙)」とは、「君が代」指導と子どもの権利条約についての市教委の間違った理解(第13条の誤った理解)に対して、前回協議でD-TaC側参加者が反論した内容について見解を求めるものです。
※子どもの権利条約と「君が代」斉唱指導のあり方の関係⇒「君が代」調教NO!裁判第5準備書面の「第5 子どもの権利条約について」P17~P24
Microsoft Word – 20220201松田氏準5完成版.docx
以下、『卒業式と「君が代」指導にかかわる要請書』を紹介します。
2024年12月4日
大阪市教育委員会
教育長 多田 勝哉 様
Democracy for Teachers and Children
~「君が代」調教やめて~(略称 D-TaC)
連絡先:共同世話人 松田幹雄
卒業式と「君が代」指導にかかわる要請書
私たちは、本年6月14日、大阪市教育員会に、子どもの権利の視点から卒業式と「君が代」指導を考えるための質問書を提出し、9月25日、回答についての協議を行いました。その回答に看過できない問題があったので、その是正を求めて要請書を提出します。
1.卒業式についての要請
【要請趣旨】
現在の公式文書では使われることのない、戦前の卒業式の呼び方であった「卒業証書授与式」を使っている学校があります。「卒業証書授与式」の使用は、戦前教育への回帰の志向を表しているといえます。ところが、この件についての大阪市教委の回答は、「卒業式の名称についての通知を行っておらず、許すも許さないもない」という無責任なものでした。卒業式を「卒業証書授与式」と呼ぶことは許されるべきではありません。
【要請事項】
◆卒業式を「卒業証書授与式」と呼んでいる学校があるかどうかについて調査し、戦前の名称である「卒業証書授与式」は使うべきでないと指導してください。
2.「君が代」指導についての要請
★2024年9月25日協議等議事録(要旨)から
<質問>「君が代」の歴史や歌詞の意味の変遷について児童生徒に正しく情報提供していない状況を、子どもの権利条約第12、13及び14条に違反していないと考えているのか。
<回答>子どもの権利条約第13条において、「あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由」と規定されているが、学校現場においては、色々な情報を児童・生徒に提供できる場面があるが、どんな内容でもすべて提供するのかと言われると、そうでない情報もあるので、条約違反には当たらないと考える。起立・斉唱をしたくないと申し出た児童・生徒に対して、そのような行為を行った場合、権利条約違反に当たると考える。
【要請趣旨】
子どもの権利条約第13条「情報を受ける権利」は第12条「意見表明権」の前提で、2つの条項は深く関係しており、大阪市教育委員会の子ども権利条約についての理解、及び、「君が代」強制との関係のとらえ方には間違いがあります。私たちは、現在の大阪市立学校の「君が代」指導のあり方は、第12条・第13条違反といえると考えています。大阪市教育委員会は、子どもの権利条約と「君が代」そのものへの理解を深めるべきです。
【要請事項】
◆2024年9月25日の大阪市教委とD-TaCの協議等議事録(要旨)にある、大阪高裁2009年9月9日判決と子どもの権利条約理解にかかわる意見(別紙)に対する見解を示してください。
【別紙】(2024年12月4日提出D-TaC『卒業式と「君が代」指導にかかわる要請書』にかかわる資料)
【2024年9月25日協議等議事録(要旨)団体要望概要から】
過去の判例において、『君が代という国歌が担ってきた戦前からの歴史的役割に対する認識や歌詞の内容から、君が代に対し負のイデオロギーないし抵抗感を持つ者が、その斉唱を強制されることを思想信条の自由に対する侵害であると考えることには一理ある。とりわけ、「唱(うた)う」という行為は、個々人にとって情感を伴わざるを得ない積極的身体的行為であるから、これを強要されることは、内心の自由に対する侵害となる危険性が高い。したがって、君が代を斉唱しない自由も尊重されるべきである』とされているものがある。
この考え方によれば、すべての情報を提供する必要はないから条約第13条に違反していないというのは誤りであり、君が代の歴史や歌詞の意味の変遷については、子どもの意見表明権を尊重するため、児童・生徒に対し説明する必要があると考える。
子どもの権利条約第13条「情報を受ける権利」は第12条「意見表明権」の前提で、2つの条項は深く関係しており、現在の大阪市立学校の「君が代」指導のあり方は、第12条・第13条違反といえる。
(意見のみ)
【参考情報】
◆D-TaCブログ
D-TaCからの呼びかけ | 「君が代」不起立処分撤回!松田さんとともに学校に民主主義を!
◆ひのきみ大阪ネットHP・大阪ネットワークニュース
大阪ネットワークニュース – 「日の丸・君が代」強制反対・不起立処分を撤回させる大阪ネットワーク
◆大阪市教委との協議報告(2024年9月25日)
大阪市教委との協議報告(2024年9月25日) | 「君が代」不起立処分撤回!松田さんとともに学校に民主主義を!
◆パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブブログ
「卒業式と「君が代」指導 大阪市教委と協議をします」
◆ D-TaC 卒業式と「君が代」指導をめぐり、大阪市教委と協議へ – パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ
「D-TaCによる大阪市教委要請の記録」
◆ D-TaCによる大阪市教委要請の記録 – パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ