吉村府知事あて児童・生徒の万博見学強制に反対する要請書を提出 2024年4月10日 なかまユニオン・学校教職員支部⇒5月29日付回答⇒6月19日応接要請を提出

要 請 書

私たちは、大阪の学校で働く教職員の労働組合です。

大阪府と大阪市がともに、全学校の学校行事として学校教職員が引率して、児童・生徒を大阪万博に参加させる目的で予算化を進めていることに、強く反対し、中止・撤回を要請します。

1.要請内容
① 学校が引率する児童・生徒の万博参加の、全学校への強要を絶対に行わないこと。
② 全学校の悉皆参加のための経費の予算化を、撤回すること。

2.要請理由
 社会見学などの学校行事を含む各学校の教育課程は、子どもの実態を踏まえて、各学校で教職員が子どもの声も受けて相談して決めるものであり、それを蔑ろにして首長が一律に予算化し、教育委員会が各学校に実施を強要することは、「地方教育行政法」第21条(教育委員会の職務権限)から考えて、あってはなりません。
 開催予定まで一年余りになって外国のパビリオン建設もほとんど進んでおらず、また国内外を含めて来場が見込めない中で、その穴埋めをするための子どもの参加に税金を投入する愚策は、子どもの人権の軽視と言えます。
 万博とカジノIRの会場予定地の夢洲は産業廃棄物の処分場であり、人体の健康への有害物質が多量に埋め立てられています。特に駐車場予定地には、強い毒性のために処分方法が法律で規制されているPCB廃棄物が集積されていて、薄い表土を被せただけで整地する危険性が、科学者から厳しく指摘・批判されています。この事実を知らせることすらせずに、子どもたちを引率してそこに参加させることは、公教育としてしてはならないことです。
 加えて、もし強行実施されれば、来年も異常気象で長期間の猛暑が予想されるので、炎天下での移動や待機等、上記の③の問題とともに子どもの健康と、教職員の勤務労働条件への重大な負荷が危惧されます。さらに一日に万単位の児童・生徒が来場することになるにもかかわらず、災害のさいの避難計画もまだ明らかにされていません。夢洲には避難経路が2ルートしかなく、台風時には、橋は強風で、トンネルは冠水で通行不可能になる危険性があります。また南海トラフ地震等で津波が発生すれば、避難できる建物もなく、液状化の現象があれば移動することすら不可能になります。(地盤が12メートルあるので、2メートルの沈下があっても津波被害は避けられる等の説明が行われていますが、津波が10メートル以下である根拠は示されていません)大阪では、1934年9月21日に接近した室戸台風では強風で倒壊した校舎の下敷きで小学校児童・職員が278名、高潮で西淀川区の大阪湾岸にあったハンセン病・外島保養院の患者・職員が187名など、大阪市で死者・行方不明者990名という被害が出ています。こうした歴史的事実を一切考慮に入れず、児童・生徒、そして教職員を万博に動員して被害があった場合には誰が責任をとるのでしょうか。さらに3月28日にはメタンガス爆発事故も発生、こうした危険性がある万博への学校強制はただちに中止・撤回することを求めます。

 以上の要望につき、次の質問への回答とともに応接・協議の場をもつことを要請します。

〔質問〕

ア. 以上で述べたような万博の問題点から、参加を拒む児童・生徒がいた場合に、その日の出欠の扱いはどのようにするのか。コロナ感染の恐れから出席できない生徒と同様に欠席以外の扱いをすることは可能か。

イ. 学校での「万博学習」は必ず実施しなければならないのか。そうした授業を義務付けるとするなら、学校の授業編成権の侵害になるのではないか。

ウ. 児童・生徒や教職員の万博参加中の地震・津波や台風等の災害への対策、避難計画の作成の責任はどこにあるのか。それらの対策や避難計画はいつ作成されるのか。

エ. 児童・生徒や教職員の万博参加中に災害が起こった場合に、その責任は大阪府や市にあるのか、教育委員会や学校にあるのか。

オ. 児童・生徒や教職員の万博参加中の事故・事件についての責任はどこにあるのか。

以上

大阪府教委からの回答(2024.5.29)

(要請項目)
1① 学校が引率する児童・生徒の万博参加の、全学校への強要を絶対に行わないこと。
(回答)
〇 「2025年日本国際博覧会児童・生徒招待事業」は、次世代を担う大阪の子どもたちに、大阪・関西万博において、最先端の技術やサービス等に触れる体験を通じて、将来に向けた夢と希望を感じ取ってもらうために実施するものです。
〇 家庭環境に関わらず、出来るだけ多くの児童・生徒が来場できるよう、学校単位の招待としていますが、参加は強制ではなく、各学校において判断いただくものと考えています。

(要請項目)
1② 全学校の悉皆参加のための経費の予算化を、撤回すること。
(回答)
〇 「2025年日本国際博覧会児童・生徒招待事業」は、次世代を担う大阪の子どもたちに、大阪・関西万博において、最先端の技術やサービス等に触れる体験を通じて、将来に向けた夢と希望を感じ取ってもらうために実施するものであり、大阪府議会の議決を経て予算化しています。

(質問項目)
ア.万博参加を拒む児童・生徒がいた場合に、その日の出欠の扱いはどのようにするのか。コロナ感染の恐れから出席できない生徒と同様に欠席以外の扱いをすることは可能か。
(回答)
 授業日や行事日に児童・生徒が出席しなかった場合、当該児童・生徒は原則欠席扱いとなりますが、特別の事由により校外学習への参加が難しく、その個別の事由を学校長が判断し、出席しなくてもよいと認めた時は、「出席すべき日数から除く」対応となる場合があります。 

(質問項目)
イ. 学校での「万博学習」は必ず実施しなければならないのか。そうした授業を義務付けるとするなら、学校の授業編成権の侵害になるのではないか。
(回答)
○ 教育課程は各学校が掲げた目標のもと、各学校において、適切な教育課程を編成するものと認識しております。
○ 府教育庁では、総合的な探究の時間等において活用できる「高校生向けEXPO教育プログラム」という教材を、万博推進局と連携して作成をし、すべての府立学校に配付したところです。
○ 本教材は、大阪で開催される万博について生徒が知る機会となるだけでなく、「探究的な学び」を生徒に体験させることができる教材であると考えており、すべての学校において、活用していただきたいと考えております。
○ ただし、「総合的な探究の時間」や「LHR」などの活用が難しく、生徒が学ぶ機会を提供することが難しい場合は、探究に係る教員研修や、職員会議等において教員が動画を視聴すること等、幅広い活用方法があると考えております。
府としては、万博は、SDGsの学習等のまたとない機会ととらえております。

(質問項目)
ウ. 児童・生徒や教職員の万博参加中の地震・津波や台風等の災害への対策、避難計画の作成の責任はどこにあるのか。それらの対策や避難計画はいつ作成されるのか。
(回答)
〇 災害時の避難等については、博覧会協会が防災基本計画(初版)をまとめており、今後、現場での具体的な対策等の検討を進め、夏頃を目途に詳細が取りまとまる予定と聞いています。

(質問項目)
エ. 児童・生徒や教職員の万博参加中に災害が起こった場合に、その責任は大阪府や市にあるのか、教育委員会や学校にあるのか。
オ. 児童・生徒や教職員の万博参加中の事故・事件についての責任はどこにあるのか。
(回答)
〇 災害時の避難等については、博覧会協会が防災基本計画(初版)をまとめており、今後、現場での具体的な対策等の検討を進め、夏頃を目途に詳細が取りまとまる予定と聞いています。
〇 災害や事故・事件発生時の責任は、その発生状況や内容により個別に判断されるものと考えます。

以上

大阪府教委へ応接要請(2024.6.19)

6月19日、「青色マーカーの部分が応接で説明を頂きたい項目です。応接の場を早急に設定して頂きいたい。」とのコメントをつけて、下記の応接要請を府教委に提出しています。

団体名(なかまユニオン・学校教職員支部)

(要請項目) 1① 学校が引率する児童・生徒の万博参加の、全学校への強要を絶対に行わないこと。
(回答) 〇 「2025年日本国際博覧会児童・生徒招待事業」は、次世代を担う大阪の子どもたちに、大阪・関西万博において、最先端の技術やサービス等に触れる体験を通じて、将来に向けた夢と希望を感じ取ってもらうために実施するものです。 〇 家庭環境に関わらず、出来るだけ多くの児童・生徒が来場できるよう、学校単位の招待としていますが、参加は強制ではなく、各学校において判断いただくものと考えています。
実質「強制」との受け止めがあるので、「学校判断」の周知を府教委として発信されること
(要請項目) 1② 全学校の悉皆参加のための経費の予算化を、撤回すること。
(回答) 〇 「2025年日本国際博覧会児童・生徒招待事業」は、次世代を担う大阪の子どもたちに、大阪・関西万博において、最先端の技術やサービス等に触れる体験を通じて、将来に向けた夢と希望を感じ取ってもらうために実施するものであり、大阪府議会の議決を経て予算化しています。
「撤回」されるのか、どうか、をお答えください。
(要請項目) ア.万博参加を拒む児童・生徒がいた場合に、その日の出欠の扱いはどのようにするのか。コロナ感染の恐れから出席できない生徒と同様に欠席以外の扱いをすることは可能か。
(回答)  授業日や行事日に児童・生徒が出席しなかった場合、当該児童・生徒は原則欠席扱いとなりますが、特別の事由により校外学習への参加が難しく、その個別の事由を学校長が判断し、出席しなくてもよいと認めた時は、「出席すべき日数から除く」対応となる場合があります。             
「質問に『万博参加を拒む児童・生徒がいた場合』と書いているが、万博遠足の安全性等に広範な疑問・不安があることを踏まえた質問である。参加を拒否した児童・生徒の出欠の扱いを考える前提として、万博遠足実施に不可欠な安全性等について、児童・生徒、保護者に十分に説明し、納得を得ることが必要であることを指摘しておきたい。その上で、爆発等の危険を理由に参加できないなどの申し出があった場合にはどうするか?  そうした場合には欠席扱いにはできないと考えるが、児童・生徒・保護者の希望があれば、登校して学校での学習を保障すべきと考えるが、どうか? また学校(校長)ごとに全く判断が違うのはおかしいので、以上のような基準を示すべきではないか。? ・(回答部局課名) 教育庁 教育振興室 高等学校課・支援教育課・保健体育課/ 市町村教育室 小中学校課
(要請項目) イ. 学校での「万博学習」は必ず実施しなければならないのか。そうした授業を義務付けるとするなら、学校の授業編成権の侵害になるのではないか。
(回答) ○ 教育課程は各学校が掲げた目標のもと、各学校において、適切な教育課程を編成するものと認識しております。 ○ 府教育庁では、総合的な探究の時間等において活用できる「高校生向けEXPO教育プログラム」という教材を、万博推進局と連携して作成をし、すべての府立学校に配付したところです。 ○ 本教材は、大阪で開催される万博について生徒が知る機会となるだけでなく、「探究的な学び」を生徒に体験させることができる教材であると考えており、すべての学校において、活用していただきたいと考えております。 ○ ただし、「総合的な探究の時間」や「LHR」などの活用が難しく、生徒が学ぶ機会を提供することが難しい場合は、探究に係る教員研修や、職員会議等において教員が動画を視聴すること等、幅広い活用方法があると考えております。府としては、万博は、SDGsの学習等のまたとない機会ととらえております。
教育課程編成権は各学校にあること、また「授業を義務付け」はしていないとの回答と理解してよいか? (回答部局課名) 教育庁 教育振興室 高等学校課・支援教育課/ 市町村教育室 小中学校課
(質問項目) ウ. 児童・生徒や教職員の万博参加中の地震・津波や台風等の災害への対策、避難計画の作成の責任はどこにあるのか。それらの対策や避難計画はいつ作成されるのか。
(回答) 〇 災害時の避難等については、博覧会協会が防災基本計画(初版)をまとめており、今後、現場での具体的な対策等の検討を進め、夏頃を目途に詳細が取りまとまる予定と聞いています。
博覧会協会だけでなく、府教委としても検討すべきと考えるが、検討しないとの回答と理解してよいか
(質問項目) エ. 児童・生徒や教職員の万博参加中に災害が起こった場合に、その責任は大阪府や市にあるのか、教育委員会や学校にあるのか。 オ. 児童・生徒や教職員の万博参加中の事故・事件についての責任はどこにあるのか。 (回答) 〇 災害時の避難等については、博覧会協会が防災基本計画(初版)をまとめており、今後、現場での具体的な対策等の検討を進め、夏頃を目途に詳細が取りまとまる予定と聞いています。 〇 災害や事故・事件発生時の責任は、その発生状況や内容により個別に判断されるものと考えます。
①爆発事故②暴風雨や地震による倒壊や浸水・津波③その際の避難経路通行困難④熱中症や転落事故等での、各々の責任主体が博覧会協会・大阪府市・府教委・学校(校長)・教職員のどこにあるのかについての判断責任者や基準をお示しください。

万博見学についての学校説明会の情報(参考)

◆2025大阪・関西万博への学校単位での招待事業
2025大阪・関西万博への学校単位での招待事業(※設定中) (tobutoptours.co.jp)
2024年2月26日説明会資料(大阪府教委)
https://sec.tobutoptours.co.jp/web/evt/expo-kodomo/secure/archive.aspx
★市町村教育委員会(市町村)向け説明会
PowerPoint プレゼンテーション (tobutoptours.co.jp)
2024年2月26日説明会アーカイブ動画
archive.pdf (tobutoptours.co.jp)
★市町村教育委員会(市町村)向け説明会(約52分)
【教育総務企画課】(約52分)「2025 年日本国際博覧会児童・生徒招待事業説明会」~市町村向け~ (youtube.com)
2024年3月26日説明会資料(大阪府教委)
PowerPoint プレゼンテーション (tobutoptours.co.jp)
2024年3月26日説明会アーカイブ動画
2025年日本国際博覧会 児童・生徒招待事業 説明会(オンデマンド) – Zoom
2025大阪・関西万博への学校単位での招待事業FAQ(2024年3月22日時点)
faq.pdf (tobutoptours.co.jp)

万博協会 2024年4月19日 お知らせ 会場建設現場における事故への対応について

会場建設現場における事故への対応について | EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト

学校の万博見学についての大阪市教委との協議報告(2024年4月18日)

(情報)学校の万博見学についての大阪市教委との協議報告(2024年4月18日) | 教職員なかまユニオン (nakama-kyoiku.com)



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