松田「君が代」処分取消裁判 高裁判決は7月27日「君が代」強制は子どもの権利条約違反!国際人権規約違反!  

機関紙「なかま」2023年7月号から
学校教職員支部 松田幹雄

「君が代」を立って歌えと迫る根拠は「みんながそうしているから」

 私は、「君が代」を起立・斉唱しなかったことで戒告処分を受けました。処分の理由は、大阪市国旗国歌条例で教職員には起立・斉唱が義務づけられていて、職務命令も出ていたのに従わなかったことです。しかし、教職員が「君が代」を起立・斉唱しないことの何が問題なのでしょうか。誰が困るのでしょうか。
 「君が代 私は歌わない 12歳の選択」というタイトルの新聞記事で、今年の小学校卒業式・中学校入学式のことが報じられました。12歳の少女が「君が代を歌いたくない」と申し出ると、学校は「みんなに迷惑がかかる」「卒業式を台無しにしてしまうかもしれない」と言って起立・斉唱させようとしました。記事によると、少女は、「…戦争の映画をみて、みんなが死ぬときに『天皇陛下万歳』って言って…何で死ぬ間際までそんなことになってんのって」「みんな平等がいいのに、何で天皇はあがめられているのかって。立ったり歌ったりすると、それを認めるようになるんじゃないかって」と話しているそうです。学校は、それに対して、「君が代」起立・斉唱はみんなやっているのに一人だけ違うことをすることは「式を壊し、みんなが迷惑」としか言えなかったのです。少女は、「君が代」を起立・斉唱しませんでしたが、式は淡々と進行し、何の問題も起きませんでした。いろんな考えの人がいるのは当たり前だし、それを大問題かのように騒ぎ立てる方がおかしいのです。

「君が代」の歴史や意味を教えないのは国家政策

 皆さんは、「君が代」の歌詞の意味をきちんと教えてもらったことがありますか。1999年「君が代」を国歌とする法律がつくられた時、政府は、現憲法下では、「君が代」は「我が国の末永い繁栄と平和を祈念したもの」と解釈するのが適当としました。「君」は「天皇」を指し、「君が代」は「我が国」だというのです。古今和歌集に載った古歌「君が代」は、「わが君は」で始まっており、もともとは、「あなたの長寿を願う歌」だったわけで、そういう解釈をすることもできたのです。しかし、政府はそうしませんでした。現憲法ができる前(大日本国憲法下)、国歌として扱われた「君が代」は、「天皇陛下の御代(お治めになる世の中)が末永く続きますように」と意味だとして「臣民」に歌わせ、学校儀式等を通じて天皇への絶対服従の意識を刷り込むために使われました。古歌とは別物だったのです。政府は、「君が代」に大日本国憲法下と同じ役割を求めています。しかし、「君」が「天皇」で「君が代」は「我が国」とする解釈など誰も説明できないので、歌詞の意味にはふれずに、とにかく「日の丸」に向かって姿勢を正して歌う歌だと刷り込むことにした…これが真実です。そのためには、不起立の者がいることを子どもたちに知らせわけにはいかない。それが、不起立教職員処分の理由です。

裁判所一周デモから判決言い渡しの傍聴へ

 6月13日、大阪高裁は1回目の口頭弁論で結審を宣言し、判決は、7月27日に決まりました。私は、控訴理由書や第1回口頭弁論の意見陳述で「子どもたちの人権侵害に手を染める行為はできないという不起立、不斉唱の理由・動機をちゃんと認定して、国際人権自由権規約18条を基準に判断してほしい。」と訴えました。7月27日(木)判決日当日は、裁判所一周デモを行ってから判決言い渡しに臨みます。ご支援、ご注目をお願いします。

【判決日の行動】

2023年7月27日(木)
13:00 西天満若松浜公園(大阪地裁・高裁の南側 道路を隔てて隣接)
13:10 裁判所一周デモ出発
13:30 デモ終了(解散 西天満若松浜公園)⇒傍聴
14:00 判決言い渡し 裁判所別館84号法廷⇒移動(大阪弁護士会館)
15:00 報告集会(大阪弁護士会館920号室)

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