(D-TaCブログより)チェンジオルグ署名を始めました 署名の趣旨(詳細)

『国歌「君が代」の意味も歴史も知らないまま「歌え」っておかしくない? 「君が代」不起立戒告処分取消裁判 最高裁に公正判決を求めます』

2023.12.15 D-TaC 「君が代」不起立戒告処分取消裁判上告人 
松田幹雄

 11月20日に始めた「君が代」不起立戒告処分取消裁判の最高裁への公正判決署名は、12月14日段階で326筆になりました。1月11日の第1回最高裁要請行動には、紙署名を1000筆以上届けることを目標に努力を続けています。

 12月15日、新たにオンライン署名(チェンジオルグ署名)も開始しました。なぜ、「君が代」の意味も歴史も教えられないまま歌わされているのか?そもそも「君が代」の歌詞はどんな意味なのか?疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。「日の丸」に向かって「君が代」を斉唱させることにどんな狙いがあるのか?現在の卒業式・入学式や教育のあり方について考えるきっかけとしてもらいたい…そんな思いを込めてのオンライン署名です。一人でも多くの人に見てもらい、関心を持ってもらいたいです。そして、そこで少しでも関心を持ってもらった人が、もっと知りたいと思ったとき見てもらえるページとして、ここに、署名の趣旨(詳細)を掲載しておきます。ぜひ読んでみてください。

◆最高裁公正判決要請署名 もっと詳しく知りたい方へ 
署名趣旨(詳細)を以下に紹介します。

署名の趣旨(詳細)

 松田幹雄さんは、担任として出席した2015年3月の大阪市立中野中学校卒業式で「君が代」を起立・斉唱しませんでした。教育ではなく「調教」というべき現状に、教員として手を貸すことはできなかったからです。それを理由に戒告処分を受け、現在、最高裁上告しています。

◆国歌「君が代」の意味も歴史も教えられないのはなぜ?

 参加者全員が壇上正面に貼られた国旗「日の丸」に向かって、国歌「君が代」を斉唱する…それが大阪市立学校の卒業式です。2012年2月につくられた大阪市国旗国歌条例によって教職員「君が代」起立・斉唱義務づけ、強制によってこの場面がつくられています。児童・生徒に伝えられることは、「国歌は大切」「日本の国歌は『君が代』」「国歌『君が代』をしっかり歌おう」だけです。なぜ、国歌「君が代」の意味も歴史も教えられないのか、不思議に思いませんか。その原因は、戦前・大日本帝国憲法の下での「君が代」の意味や役割を隠したいという国策にあります。文部科学省の学習指導要領には、国旗・国歌の一般的意義については記載していても、「君が代」の意味や歴史については何も記載していません。大阪市教育委員会も、「君が代」指導にかかわる資料・手引書は一切作っておらず、「君が代」指導にかかわる教職員研修もまったくやっていません。学校現場で、「日の丸」「君が代」の歴史にかかわる事実を児童・生徒に伝えようとすると、その内容に事実に基づいて反論できなくても、そのトーンが国旗・国歌尊重の態度を養うという学習指導要領の趣旨に反していると禁止することさえ行ってきました。こんな状況の下で、歌唱指導の際には不可欠であるはずの歌の歌詞の意味さえ教えられない学校現場にされているのではないかと思います。

 では、「君が代」はどんな歌なのでしょうか。「千代に八千代に さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで」は「末永く続きますように」という意味であることは異論がないので、問題は「君が代」の意味です。

 この歌の初出である平安時代の古今和歌集掲載の古歌の写本には2種あったそうです。「我が君は 千代にましませ さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで」と「我が君は 千代に八千代に さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで」です。出だしは、「君が代は」ではなく「我が君は」なのです。「我が君」が鎌倉時代までに「君が代」に変化したわけです。それで、元歌の古歌の「君が代」は、「歌を送られる人の寿命」」を意味していたと言えます。以降、江戸時代まで、おめでたい場など様々な場で歌われていました。

 明治になって、天皇中心の国づくりをめざす明治政府が「君が代」を「天皇陛下の御代(天皇陛下のお治めになる御代)」として曲をつけ、国歌の扱いをするようになったのです。1900年の小学校令施行規則には、最も重要とされる紀元節、天長節等3大節(昭和では4大節)の学校儀式の式次第に「御真影(天皇・皇后の写真)に最敬礼(90度の礼)」「教育勅語(天皇が国民に示した教育方針)奉読」と並んで位置づけ、記載されました。1942年国定修身教科書では『この歌は、「天皇陛下のお治めになる御代は、千年も萬年もつづいて、おさかえになりますやうに。」といふ意味(いみ)で、國民が、心からおいはひ申しあげる歌であります。』と説明し、天皇のために命をささげる「臣民」をつくる学校教育の中で重要な役割を果たしました。

 戦後の日本国憲法の下では、「君が代」を「天皇陛下の御代」とするわけにはいきません。それで、1999年国旗国歌法制定に際して「君が代」「我が国」と理解する解釈を示しました。「君」は「象徴である天皇」、「代」を「国」と解釈し、「君が代」は「象徴天皇の国」=「我が国」とする解釈です。それで、音楽の本などには、「君が代」「我が国の繁栄と平和を祈念する歌」と説明しているのですが、この無理やりの解釈を納得できるように説明できないし、何より、戦前・戦中の「君が代」の意味・扱いを抜きにして説明することができないので、何も説明せずに歌わせているというのが実情といえます。

【子どもの権利条約違反】

 子どもの権利条約は、子どもたちに、自分にかかわることについて意見を聞かれる権利(12条)を保障し、自分の意見を形成するために必要な情報を受ける権利(13条)、自分の考え(思想・良心・宗教)に反する行為を強制されない権利(14条)を規定しています。児童・生徒は、自分に起立・斉唱が求められている「君が代」について「どんな歌?どんな歴史があるの?」と聞いていいのです。そして、自分の考えによって、学校から求められることに従わないことも子どもの権利条約では認められているのです。しかし、現実の学校では、必要な情報も提供されないまま「まわりに合わせろ」「勝手なことをするな」と言われて、「日の丸」「君が代」の歴史を知って、「君が代」を歌いたくないと思っている子つらい思いをしています。この現実は、子どもの権利条約違反と言えます。 

◆国旗(日の丸)に向かって国歌(君が代)を起立・斉唱する自らの姿を通して子どもたちを教育せよ?

 2012年2月制定の大阪市国旗国歌条例は「市立学校の行事において行われる国歌の斉唱にあっては、教職員は起立により斉唱を行うものとする」と規定しました。それに基づく大阪市教育長通知では、1.「ピアノ等での伴奏によりしっかり国歌が斉唱できるよう指導」「壇上正面の国旗、国旗を尊重する態度の育成」 2.「自らが起立・斉唱することが教育の効果を高めることを教職員に周知」 3.「起立・斉唱の職務命令の発出」を校園長に指示しています。これは、「教職員は、国旗(日の丸)に向かって国歌(君が代)を起立・斉唱する自らの姿を通して子どもたちを教育せよ」という命令です。

 地裁・高裁の判決は以下のように判示して、戒告処分を是認しました。

 『卒業式で「日の丸」に向かって「君が代」を起立・斉唱する行為は、「慣例上の儀礼的な所作[注]であって、職務命令によって、教職員の思想・良心が間接的な制約を受ける面があるとしても、卒業式の秩序確保と円滑な運営のための職務命令にはその制約を許容し得る必要性、合理性がある
※[注] 2011年5月~6月の3つの最高裁小法廷判決で初めて用いられた最高裁の造語

 裁判所のいう「慣例上の儀礼的な所作」の根拠は、端的にいえば「みんながやっているから」というだけにすぎません。ここには戦後の文部行政を通して「日の丸・君が代」が強制されてきたことが不問にされています。

 会場のステージ正面に「国旗」を掲げ、これに参列者全員が正対して「礼」をし、「国歌」を歌う「国旗掲揚・国歌斉唱」の所作は、まず日本でしかみられないものです。この所作自体は、「教育勅語の奉読」も入れて、かつての新年拝賀式(1/1)、紀元節(2/11)、天長節(4/29)、明治節(11/3)の四大節学校儀式で行われていた天皇神聖化儀礼として整えられたものです。

 1930年代後半、中国との戦争が全面化し国民精神総動員運動が広がる過程で、様々な式典で「御真影(天皇・皇后の写真)」の代わりのように「日の丸」が掲げられる形がよく見られるようになります。入学式や卒業式でも行われるようになりました。

 敗戦後、「御真影」や「教育勅語」が回収され、四大節が姿を消していきます。しかし、米ソの冷戦体制が深まり「愛国心教育」が強く求められ出したことを背景に、学習指導要領の改訂を通して、この式典の形「儀式的行事」と位置づけられた卒業式等で強く求められてきました

 裁判所は、大日本帝国の下、学校教育を通して「神聖天皇崇敬」を浸透させる意図をもって、このような儀礼の原形が成立したことを全く考慮することなく判示しているのです。

【国際人権自由権規約違反】

 国際人権自由権規約はすべての人の思想・良心・宗教の自由を絶対的に保障されるべきものとし、自分の信念に反する行動を強制されない権利(18条)を規定しています。大阪市立学校の教職員は、今、橋下市長と大阪維新の会が主導して制定した大阪市国旗国歌条例とその下で発せられている教育長通知によって、「国旗(日の丸)に向かって国歌(君が代)を起立・斉唱する自らの姿を通して子どもたちを教育せよ」と命じられ、従わなければ懲戒処分を受けています。これを拒否して、起立・斉唱しなかったことを懲戒処分にしたことは、国際人権自由権規約違反と言えます。 

◆公正判決署名の拡散にご協力を

 松田さんの処分取消は、教職員の権利確立に寄与すると同時に、子どもたちの権利侵害の是正につながるものです。最高裁への「公正な判決を求める署名」の拡散にご協力ください

チェンジオルグ署名
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★紙署名の呼びかけ
最高裁判所あて公正な判決を求める署名へのご協力のお願い | 「君が代」不起立処分撤回!松田さんとともに学校に民主主義を! (wordpress.com)

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