(大阪維新を許さない会 2024.11.20大阪市役所前朝ビラから転載させてもらいました)
大阪市立中学校教員だった松田幹雄さんが、2020年9月に大阪地裁に提訴したコロナ在宅勤務不払い裁判は、今年9月30日、大阪市が松田さんに49,577円を支払って終結しました。
公務員は理不尽な命令にも従わなければならないのか?
この裁判は、政府が「ヨーロッパから帰ってきた者は、コロナウイルス感染症拡大防止のため、症状の有無にかかわらず2週間の自宅等での待機」という方針を出していた2020年3月、スイスから帰国し、政府方針に従って在宅勤務を行った松田さんが、その在宅勤務を大阪市が欠勤(8日間)扱いにした上に、給与とボーナス約148,000円を減額したことは違法だと訴えたものです。「政府の方針は出ているが、実施日が数日後で特別休暇にできないので、後は、校長権限の範囲でやってもらうしかない」というのが当時の大阪市教委見解だったので、松田さんは校長と相談して、「自宅での研修」という扱いで在宅勤務を始めていました。ところが大阪市教委は、「10年前から自宅での研修は認めていない。熱がなければ出てこさせろ」と校長に指示し、校長が出勤を命じた、という経過でした。理不尽な要求に従って、もし感染が拡大するようなことになれば、誰が責任を取るのか?松田さんは、政府方針通り2週間の在宅勤務を続け、松井市長(当時)にも直接直訴状を提出しましたが、松井市長はそれを無視して、約148,000円を減額したのです。
地裁が違法判決。しかし高裁は「在宅勤務は研修ではない」と違法判断を取り消す
2023年5月、大阪地裁は「コロナ感染症対策を模索していた時期、校長が市教委の指示のみに従って自宅での研修を取り消したことは、裁量権の乱用・国賠法違反」として、慰謝料50,000円、最初の3日間は校長が自宅での研修を認めていて出勤しなかった責任は大阪市にあるから3日分の給与約44,000円、合計約94,000円の支払いを命じました。大阪市が控訴して大阪高裁は2024年1月、「在宅勤務は研修ではないからこれを認めなかったことは違法ではない」と大阪地裁の違法判決を取り消し。同年7月、最高裁がこれを追認して、大阪市が松田さんに約44,000円を支払えという判決が確定しました。9月30日に大阪市が松田さんに支払った49,577円は、支払いまでの遅延損害金を含めたものです。
2024年5月大阪市教教育委員会会議の裁判報告 市教委の責任を消しているが…
市教委事務局は、2024年5月大阪市教育委員会会議にコロナ在宅勤務不払い裁判についての報告をしています。しかし、自宅での承認研修を校長が認めなかったのは、大阪市教委が指示したからという重要ポイントを書いておらず、当然、政府方針をも無視して「熱がなければ出てこい」と命じたことも書いていません。しかし、大阪市のコロナ感染症関連死者が全国1位という悲惨な結果をもたらした、当時のデタラメなコロナ対応の証拠は裁判書証として残されました。
大阪市新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開かず、大阪市における新型コロナウイルス感染症状況についての評価・方針を検討もせずに、傍聴参加して大阪府方針を垂れ流した問題とともに、今後も、総括を迫り、問題にしていきましょう。