裁判では大阪市のデタラメコロナ対応が明らかに
コロナ在宅勤務不払い裁判原告 元大阪市立中学校教員 松田幹雄
大阪地裁判決(2023.5.17)が、「新型コロナに関する社会情勢等といった考慮すべき事項を考慮しないまま自宅研修を認めなかったのは裁量権の逸脱濫用、国賠法1条1項違反」としたことを、「原告が行ったのは在宅勤務であり研修とは認められないから」と取り消し、さらに「在宅勤務をさせるべき状況にあったとまでは認められない」とした1月24日の大阪高裁判決に対して上告していました。大阪高裁が判断した論点に対して弁明の機会を与えず、根拠なく一方的に判定をくだしたもので、裁判を受ける権利を侵害する訴訟指揮だと差し戻しを求めていたのです。この上告と上告受理申立に対して、最高裁から「棄却する」「受理しない」とする通知が7月11日付で届きました。地裁判決は「大阪市は9万4262円を支払え」というものでしたが、慰謝料の5万円を減額し、欠勤扱い8日分の給与11万8034円のうち、校長が自宅での研修を認めるとして対応していた3日分の給与4万4262円を支払えとする高裁判決が確定しました。大阪市の弁護士からこちらの弁護士に支払いの連絡があったとのことです。2020年9月30日から支払い日まで年3%の金員を支払えということなので約5万円くらいになるでしょうか。行政の誤りが認定された結果として大阪市に少額でも払わせることには意味があると思っています。
(その後、49,577円を支払うとの連絡が大阪市からあり、9月30日、実際に振り込まれました。地裁判決後、大阪市が控訴を提起した際は大阪市会に報告されましたが、最終結果については、大阪市会への報告はないそうです。)
私は、2020年10月28日の第1回口頭弁論で裁判に至る経過ついて以下のように意見陳述しました。
20201028boutouchinjutsu.pdf (wordpress.com)
「私は、本年3月12日夜、関西国際空港を発ってスイス・ジュネーブに行き、所属組合・教職員なかまユニオンの ILO・ユネスコ合同専門家委員会(CEART)要請行動に参加して、3 月17日の夕方帰国しました。組合の要請にかかわる直接の課題を抱えていたことから参加し訴えてほしいとの依頼を受けてのことでした。 同じ3月17日、新型コロナウイルス感染症対策政府専門家会議が、厚生労働省に、欧州からの帰国者に 2 週間の自宅等での待機と公共交通機関不使用を求めるよう要請していました。私はこのことを帰国して知りました。そして、自分がその対象者だと強く意識しました。」
大阪市は私に対して、学校に出勤しなくていい措置をとるべきでした。その方法は、特別休暇、職務専念義務免除、在宅勤務、PCR検査を認める等いろいろあったはずです。実際、全国の学校の一斉休校前2020年2月28日付の文科省通知には、「教職員が濃厚接触者であるなど出勤により感染症を蔓延させる恐れがある場合には在宅勤務等により学校に出勤させないようにすること」の文言がありました。しかし、市教委は「2週間待機の政府方針は2020年3月21日以降の帰国者への適用で特別休暇にならないため、後は校長責任の範囲で考えてもらうしかない」としました。校長と話し合い、自宅研修の形での在宅勤務を行うことにしたのに、「自宅での研修は認めないことになっている」「熱がないなら出勤せよ」と命じた市教委は、新型コロナ感染症拡大防止についての政府・文科省の認識・方針さえ無視したわけです。「バーチャル都構想」だと言って、大阪市新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開かず、大阪市における新型コロナウイルス感染症状況についての評価・方針を検討もせずに、大阪府の感染症対策本部会議に傍聴参加するだけで府方針を垂れ流し、結果、全国最大のコロナ関連死を出した大阪市政のデタラメコロナ対応を象徴するものだと思いました。
裁判では、自宅研修を認めるか否かという校長権限に関する部分が論点の中心だったため、この大阪市のコロナ対策の問題は焦点になりませんでしたが、それでも、政府が2週間の待機を求めたヨーロッパからの帰国者について、他の職員と区別する必要はなく、コロナ対策の基本からも外れて「熱がなければ出勤せよ」と命じた大阪市のデタラメコロナ対応は裁判書証として残されました。(例えば、大阪市控訴理由書P41~P42)
kousoriyusho.pdf (wordpress.com)
この裁判で、全国最大のコロナ関連死を出した大阪市のデタラメコロナ対応が明らかになったこと伝えながら、職員が良心に従って仕事ができる大阪市行政・大阪市教育行政に変える活動をこれからも続けていきたいと思います。
みなさん、ご支援ありがとうございました。