2月6日、「特別専科教諭」の新設に関して要求書を提出し、交渉

教育委員会提案「教職員人事異動の基準について」に関する 要求書
2024年2月6日
大阪市教育委員会教育長 多田 勝哉 様

                        なかまユニオン・大阪市学校教職員支部
                                  支部長 笠松 正俊

前略。
2月1日に提案を受けた「教職員人事異動の基準について」の、特に「特別専科教諭」の新設に関して、以下の要求を提出します。

1.要求内容


➀ 大阪市独自の予算化で、講師ではなく本務教員(教諭職)の新任採用数を増やす本提案は、これまでの無策に比して積極的であり、実施自体には賛成する。


ただし、長期的にも、来年度実施前に直ぐにも、解決すべき問題点がいくつかあり、以下の実施を要求します。
長期的には、「特別専科教諭」という緊急対応的な新職種での配置は止め、大阪市独自の予算化での新任教諭の採用数をさらに増やして、一般の新任教諭として配置すること。当該の新任教員が「1年目は学級担任を希望しない」や「複数での担任を希望する」場合は、教育委員会の言うOJTを可能にするだけの増員配置に変えていくべきです。


上記とは別に、来年度実施のための前提として、以下のことを早急に実施することを要求します。
(ア)新任教諭全員の中で、「特別専科教諭」配置を希望するかどうかは、本人の希望を聞いて尊重すべきです。教育委員会の説明のように「過去に講師経験のない人を当てる。」という一方的な配置は、新学卒者で「学級担任を希望する」人の労働意欲を阻害するパワハラ性(仕事を与えない)になります。
(イ)来年度採用予定者全員に、「特別専科教諭」制度の内容を、教育委員会が考えるOJTとしての意味も含めて詳しく説明した上で、希望を募ることを至急に行うこと。
それをしない場合、採用(任用)をすでに内定しているのに、赴任校に行ってから「年度途中での勤務校変更条件」だったと知らされることになり、勤務時間・賃金・勤務場所を明示しての労働契約が必要だという、労働法制の基本に反する問題が出てきます。
(ウ)初任校の全教職員に、「特別専科教諭」なので年度途中の「転出」(勤務校変更)の可能性があることを周知徹底した上で、それを想定した授業時間数と校務分掌の分担を、徹底すること。
(エ)年度途中の、しかも突然にならざるを得ない実質的な「転勤」は、当該教員の労働条件にとっては大きな負荷です。その負荷を少しでも削減する責任は雇用者(使用者の教育長)の責任です。取りあえずの判断として、
変更後の勤務先の勤務労働環境についての当該教員の改善要求について、勤務先の 管理職だけに委ねず、例えば配置1か月後等に教育委員会の責任で要望・意見を聞き、改善すること。
産休、育休者が復帰後の当該「特別専科教諭」の配属先について、「過員」かどうかにかかわらず、教育委員会の責任で当該教員の希望を聞き尊重すること。

2.要求内容についての説明

 この新制度だけでは、現在の「講師欠員」状態解決することは、できません。本制度を実施しても、その採用した新任教員が働き続けられる保障としては、決定的に不十分です。
 なぜ、年度途中で辞める人や、病休者多いのか? そもそも大阪市を受験しない人や、講師さえも集まらないのか? 根本的な検証教育委員会(教育長)に問われています

 根本的な問題は、この10年以上続く大阪市の教職員への労務管理が、「上意下達」と「点数化できる成果競争」に終始し、一人一人の教員が納得した上で意欲を持って、目の前の子どものために働くという、最も重視すべきこと潰し続けてきたことです。

 具体的に様々な反省点と課題はありますが、大きな問題は、教職員の協働関係をバラバラにし、トップダウンの管理体制とパワハラ蔓延の温床になっている、現行の人事評価制度です。自分の評価結果のために、管理職は校内で起こる不都合を解決しようとせずに蓋をしてとにかく隠す傾向にあり、年輩の教員も新しい人を助けるより、自分の評価結果を上げることを迫られて、敢えてしんどい児童・生徒や学年を持つことを避け、経験の少ない新任にその担当が押しつけられ、しかもフォローも無いため、病休や退職者が年度途中で多く発生している悪循環になっています。
 教育委員会が今夏に初めて実施した「人事評価制制度についての全員悉皆アンケート調査」の結果でも、それは明らかになりました。自由記述欄に溢れている「現行の人事評価制度はダメだ!」の意見は、「教育職の評価制度自体に反対。」「評価制度実施には賛成だが、給与反映には反対。」「給与反映も賛成だが、現行制度はダメだ。」の意見の違いを越えて、すべての人に共通しています。

 大阪市の積年の「講師欠員」問題、年度後半には複数の欠員状態が恒常化し、極端な学校では校長も教頭も代替指導に当たり「職員室の管理は保健室の養護教諭が代行している」というような公教育としての崩壊状況を根本解決するためには、決して本提案だけにとどまることなく、とにかく以下の4点の英断が、教育委員会と教育長に求められています

(1)今回の本提案を契機に、大阪市独自予算での教諭(正規教員)の増員を、市長と市議会に要求し続けること。

(2)教職員の人事評価制度の廃止に向けて、先ず、評価結果の給与反映直ちに中止すること。

(3)大阪府の他市にはなく大阪市だけが制度化してきた、「主務教諭制度」での給与差別は、教職員の協働関係を潰しており、廃止すること。

(4)大阪府の他市にはなく大阪市だけが制度化してきた、初任給を始めとする若年層だけの給与水準を上げる現行制度は、逆に中堅層以上の経験ある教員の市外流出を増やす結果にしかなっていず、廃止して、全員の給与水準を上げること。

以上です。

【2024. 2.6市教委交渉結果】

 2月6日に、市教委(教職員人事担当)と1時間余り交渉(事務折衝)しました。
  ・「要求内容➂の(イ)」について
   「採用予定者全員に希望を募る」ことは、拒否しましたが、
   「OJTとしての目的を含めて、配置対象者には校長から丁寧に説明する。」
   「そのための校長会(2月中予定)用説明資料文書を作成する。」
   ことは確認しました。

  ・校長会文書を出し次第、情報提供を求めて、
   新制度の「特別専科教諭」自体が‛使い捨て’にならないように
   組合でフォロー要求していきます。

2月下旬 校長会での説明資料(大阪市教委から提供されたもの)

2月6日の交渉報告で「校長会文書を出し次第、情報提供を求めて」と書きましたが、3月4日大阪市教育員会から、2月下旬の校長会時の説明資料提供を受けました。以下画像で張り付けます。組合は、この情報を新採用の人に届ける努力を行い、『新制度の「特別専科教諭」自体が‛使い捨て’にならないように、組合でフォロー要求していきます』

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