(紹介)「卒業証書授与式」使ったらダメ!運動

『「君が代」強制は子どもの権利条約違反』と訴える市民団体D-TaCが、1年間にわたって取り組んだ『「卒業証書授与式」使ったらダメ!運動の報告』をブログに掲載しました。
「卒業証書授与式」使ったらダメ!運動の報告 | 「君が代」不起立処分撤回!松田さんとともに学校に民主主義を!
同じ問題は全国にあるのではないでしょうか。
記事にある、朗読劇「卒業式の主役は誰?式の名称にこだわって」を紹介します。

D-TaC朗読劇「卒業式の主役は誰?式の名称にこだわって」

<登場人物>・ナレーター ・D-TaCメンバー A 、B、C、D ・市教委 ・校長E、F(合計8人)

<ナレーター>(1)
◆それでは、ただいまよりD-TaCの寸劇「卒業式の主役は誰?式の名称にこだわって」を始めます。練習なしぶっつけ本番なので、朗読劇というスタイルで台本読みあげ、しかもへたくそ大阪弁でやらせてもらいますわ。
私たち、D-TaCは、松田さんの「君が代」不起立処分取り消し裁判支援の目的で2015年7月に結成したんですわ。松田さんと一緒に頑張ってきたんやけど、裁判は去年の1月最高裁が上告棄却~の決定で終わりましてん。でもそこで終わらへんのが松田さんとD-TaC。D-TaCいうたら「デモクラシー・フォー・ティーチャーズ・アンド・チルドレン」でおますやろ。よって原点に立脚して『「君が代」強制は子どもの権利条約違反』いう主張を中心にして、学校に民主主義を実現することをめざし、去年の6月新たに出発したんですわ。大阪市教委への要請に、「君が代」指導のあり方と、卒業式のあり方も取り上げることに決めましてん。。昨年4月のD-TaCミーティングはまあこんな感じでしたわ。再現しますね。

【第1場】2024年4月D-TaC会議

A:◆高校の卒業式ビラまきに行って思ってんけど、ほとんどの高校がで~んと「卒業証書授与式」の看板を出してて、めっちゃ違和感あったなぁ~。なんで「卒業証書授与式」(授与式に力入れて読む)なんかな~と。

B「卒業証書授与式」てさ、「校長先生様が、ありがた~く卒証書を業授与する式」。卒業式」は「卒業生が卒業する式」。誰がこの「卒業式」の主人公かっていう話やねんな。

でも、よう調べたら大阪市立の中学校でも、「卒業証書授与式」けっこう使われてるわ。今度の市教委への要請では、「君が代」指導のあり方、プラス「卒業証書授与式」問題も追及したらええやん。

<ナレーター>(2)
◆そんな話し合いの結果、6月14日市教委に質問書を提出したんですわ。ちよっと長たらしくおもろないけど聞いてや。【卒業式について、『卒業式を卒業証書授与式と称している学校がありますが、それは許されるという見解ですか。その理由についても明らかにしてください。また、卒業式を卒業証書授与式と呼んでいる学校は、何を根拠としているのでしょうか。教育委員会の見解を示してください。』いう内容ですわ。その回答を受け、9月25日、市教委と協議を行いましてん。これも再現しますね。

【第2場】2024年9月25日大阪市教委とD-TaCの協議

B:◆「卒業証書授与式」のことばは、学習指導要領や文科省・市教委の通知にはないですよね。学校がこのことばを使っている理由を、調べなかったんですか。

市教委:◆D-TaCさんの質問書が出されたので、文科省に問い合わせたり、市教委の人権・国際理解教育担当者に聞いたり、色々しましたが、「卒業証書授与式」という言葉がなぜ使われているのかはわかりませんでした~、はい。

D「卒業証書授与式」いうことばを使うことは許されるということなんですか。

市教委◆いえいえ、文科省からも市教委からも名称に関する通知はしておりませんので、「許すも許さないもない」というのが回答でございます。市教委といたしましては、名称にかかわらず、どの学校でも「卒業生が主人公である」(強調する)卒業式を実施していると認識している次第であります。オホン。

<ナレーター>(3)
この9月の協議を受け、D-TaCは、12月4日、市教委に要請書を出しましてん。『卒業式を「卒業証書授与式」と呼んでいる学校があるかどうかについて調査し、戦前の名称である「卒業証書授与式」は使うべきでないと指導してください。』いう内容ですねん。2月19日、再度市教委との協議を設定し、D-TaCミーティングで作戦を練りましたんですが、時間の都合でここはさらっと流しますわ。

【第3場】2025年2月D-TaC会議

B:◆日本教育史の小野雅章さんに聞くと、明治・大正は「卒業証書授与式」だったけど、戦前でも昭和のころには「卒業式」になってたんやて。。

A:◆それなら、戦後すぐは「卒業式」だったはずなのに、どこかの時点で、誰かが「卒業証書授与式」に変えたということ?ミステリ~やな。

D:◆「日の丸・君が代」強制と一体の動きではないだろうか。今度の協議の目標は、市教委から各学校にD-TaCとの協議の情報や内容を伝えさせることにしよう。協議以降、こちらからも学校に直接働きかけるようにしよう。

B::◆各学校には、「卒業証書授与式を使わないで」と要請する根拠を整理して伝えよう、こんなんでどう?
(1)卒業式は卒業生が主役であるべきです。「卒業証書授与式」は主体が、校長、学校、国にあるような表現で、ふさわしくありません。
(2)学習指導要領、文科省や教育委員会の通知等でも一切使われないことばです。
(3)「卒業証書授与式」は戦前の主に前半使われた呼称であって、戦前も後半には卒業式と呼ばれており、一切の根拠がありません。

C: ◆要求項目として、《ホームページの記事の表現を「卒業式」にすること》これわかりやすいしええんちゃう?

<ナレーター>(4)
◆全然さらっとでもなかったですね。D-TaCは、そんな話し合いの結果、2月21日に、大阪市立小・中学校416校に『大阪市立学校の校長・教職員のみなさま 卒業式の主役は卒業生です。
「卒業証書授与式」のことばを使わないでください』というメールを送りましてん。また3月6日には、大阪市教委の初等・中学校教育担当課長宛てに【ご通知】と題するメールを送り、『学校ホームページに載る卒業式の報告を見て、「卒業証書授与式」という名称を使っている学校に対しては、質問書を提出し、回答を求めるつもりです。』とびし~っと通告しましてん。
そうして迎えた3月の卒業式。。結果は、卒業式のホームぺージ記事が「卒業証書授与式」になっていた学校が中学校で129校中32校、小学校で282校中6校でして、昨年からは激減。宣言通り「卒業証書授与式」を使った学校には、松田さんを先頭に、というか九割方松田さんの奮闘で、メールや電話をガンガンかけまくり、使用理由の説明を求めていきましてん。で、最後にその結果は、ジャジャ~ン!

【第4場】学校からの返信メールの例

中学校校長E:◆ご質問についてお答えします。・HPでもご覧いただいたのでお分かりだと思いますが、本校卒業式は、先生(校長など)が主役となった卒業式ではありません。卒業式の主役は卒業生となったものであることをお伝えします。・例年、保護者・地域への案内などを卒業証書授与式としているため今年度も使用しています。・今回いただきましたご意見は、学校でも今後検討してまいります。ありがとうございました。

小学校校長F:◆言葉の使用に大きな意味はなく、ホームページで使用してしまいました。趣旨を受け止め、すでに、ホームページの訂正もしております。よろしくお願いいたします。

<ナレーター>(5)
◆「卒業証書授与式」を使っていた学校38校のうち、メール、電話、手紙等で回答のあった学校は18校、すでにホームページの記載を「卒業式」に変えた学校は9校です。
回答のあった学校の「卒業証書授与式」使用理由は「慣例」以外なく、2025年度卒業式で、「卒業証書授与式」の言葉を大阪市立学校から一掃できる可能性が出てきました。

D-TaCは、今年度、すでに、大阪市教委に、この問題の要請書を提出しています。今回の運動は、事実を伝え、要求することで現実を変えることができると確信できる貴重な経験になりました。
戦争を支える教育支配を許さないために、卒業式と「君が代」指導のあり方についての要求運動をさらに広げたいと思います。皆さん、ともに頑張りましょう。(で、出演者は礼をする)

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