2023.9.8「大阪市の控訴の経過を調査し、控訴取り下げの検討を求める陳情書」提出に至る経過と市会議員のみなさまへのお願い 

コロナ在宅勤務不払い裁判原告の松田幹雄です。9月8日に私の裁判についての控訴経過の調査と取下げ検討を求める陳情書を大阪市会事務局に提出したところ、陳情として扱わないという不当な扱いをされました。経過を報告し、みなさんにこの扱いの是非を考えていただきたいと思います。特に、市会議員のみなさまには、この扱いに対する抗議と大阪市の控訴経過の調査をお願いいたします。

<できごと>

5月17日 大阪地裁判決「主文 決被告は、原告に対し、9万4262円及びこれに対する令和2年9月30日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え」

⇒「コロナ禍で自主的在宅勤務“欠勤扱い不当”大阪市に賠償命令」(NHK)、「在宅勤務『欠勤』違法 地裁 大阪市に賠償命令」(毎日)など、関西のほぼすべてのメディアで報道

5月24日 「横山市長が控訴をせずにこの判決を確定させること」の申入書を提出

5月28日 大阪地裁第5民事部からの「強制執行停止決定」通知(5月26日付)受け取り(大阪市が控訴して執行停止を申立たため)⇒大阪市が5月25日付で控訴したことが判明

5月29日 「大阪市が控訴した経過が分かる文書」を開示請求

6月2日 横山市長あて「控訴した理由を市民に説明することを求める申入書」を提出

6月13日 6月12日付部分開示決定通知書が送られてくる

6月15日 横山市長は定例記者会見で控訴にふれず

6月16日 「5月24日と6月2日に出した申入書の扱いが分かる文書」を開示請求

6月19日 「大阪市が控訴した経過が分かる文書」についての部分開示文書受け取り⇒5月18日段階で大阪市教育員会事務局の担当課原案は、「控訴せず、支払う」だったことが判明

7月3日 6月16日付開示請求について開示通知書(6月30日付)が送られてくる

7月7日 「5月24日と6月2日に出した申入書の扱いが分かる文書」についての開示文書受け取り⇒2つの申入書については、どちらも教育長までの供覧であり、横山市長が見ていないことが判明

7月20日 「平和と民主主義をともにつくる会・大阪」から「大阪市が控訴したことの市民説明を求める要請書」を提出。「市長宛の要請書であっても、市長に届いていない、市長が見ていない事例があることが明らかになっています。これは明らかに不適切な取り扱いです。この要請書についてはきちんと市長に届く取り扱いをしていただきますよう、よろしくお願いします。」と書いていたが、9月8日の問い合わせで、教育次長までの供覧扱いで、横山市長が見ていないことが明らかになった。

9月8日 大阪市会に「【令和2年(行ウ)第124号賃金請求事件】(コロナ在宅勤務不払い裁判)の2023年5月17日大阪地裁判決に対する大阪市の控訴の経過を調査し、控訴取り下げの検討を求める陳情書」(2023.9.7付)を提出⇒市会事務局「受け付けるが議長に届けるだけで陳情として扱わない」

<2023年9月8日提出の陳情書で求めたこと>

 経過から分かるとおり、私は、横山市長に対して、5月17日の大阪地裁判決に従って約94000円を支払うことを求めました。
『この間の大阪市のコロナ対策に関係して、「形式的」で「違法というべきである」とされた本判決を横山新市長が仮にも受け入れずに控訴することは、司法に批判された前市長の判断の誤りを単に引き継いでしまうことにとどまらず、全てのコロナ対策についての今後に向けた検証全体を、新市長として「放棄」宣言するにも等しいものです。』(2023.5.24申入書)
と主張して、この判決受け入れを契機として、この間のコロナ対策を検証するよう求めたのです。大阪市が控訴したことが明らかになって以降は、横山市長に、市民に対して控訴理由をしっかり説明すべきだと訴えてきました。しかし、それらの訴えはまったく無視され、申入書要請書は、横山市長に届いてさえいないことが明らかになりました。そして、判決直後の弁護士見解を踏まえた担当課(教育委員会事務局)原案は「控訴しない。判決に従って支払う。」だったことを知りました。誰かが無理やり控訴に持っていったわけです。

 控訴にはお金がかかります。市民のお金を使うわけです。控訴の是非をチェックするのが市会の役割です。制度としては、訴訟物が一定金額以上なら、控訴する場合、市会の承認が必要であり、それに満たない金額の場合は市長専決でやってよいが、結果を議会に報告することが義務付けられています。このコロナ在宅勤不払い裁判控訴の件の報告は、9月15日の市会本会議だと思います。

 7月20日付で横山市長あてで提出された「平和と民主主義をともにつくる会・大阪」の『コロナ在宅勤務「欠勤」扱い違法大阪地裁判決(2023.5.17)に対して大阪市が控訴したことの市民説明を求める要請書』の要請理由には、
「要請項目の2023年5月17日大阪地裁判決は、2020年3月、欧州からの帰国者に自宅等での待機と公共交通機関不使用が政府から求められていた状況の中で、その対象であると自覚した原告が行った「自宅での研修」扱いでの在宅勤務を認めなかったことは裁量権の逸脱濫用、国賠法違反で、違法と断じました。判決は、多くのメディアで報道もされました。
私たち市民は、大阪市の当時のコロナ対策に問題があったと認識し、この判決への大阪市長の対応を注視していました。しかし、その後、市長から何の発信もないままです。市議会への報告もないとのことです。
聞くところによると、市長は5月25日付で控訴したとのことです。そのことに対する市民説明がないのはどうしてでしょうか。判決報道によって市民が抱いた大阪市のコロナ対策に対する不信感を市長はどう考えておられるのでしょうか。控訴には、市民説明ができるきちんとした理由があるのか、税金の無駄遣いではないのか、私たちは大きな不信感を抱いています。市長には、控訴についてきちんと市民に説明する責任があります。』
とあります。市民に対して、きちんと説明するのは、市長の責任です。横山市長はまったくその責任を果たしていません。この状況を放置すれば、市会の責任も問われるのではないかと思います。

 今回の控訴については、決定経過大きな疑惑があります。それを調査し、控訴の是非を検討するのは市会の責任ではないかと思い、陳情書を提出したわけです。しかしながら、市会事務局はこの陳情を陳情として扱わないとしています。市会議員の皆様には、ぜひ、この扱いに抗議をしていただきたい。そして、疑惑のあるこの件の控訴経過について調査し、控訴の是非についてぜひ検討いただき、市会議員としての責任を果たしていただきたいと思います。

<9月8日に私(松田幹雄)が提出した陳情書>(参考)

大阪市会議長様

【令和2年(行ウ)第124号賃金請求事件】(コロナ在宅勤務不払い裁判)の2023年5月17日大阪地裁判決に対する大阪市の控訴の経過を調査し、控訴取り下げの検討を求める陳情書

<陳情趣旨>

5月17日、大阪地方裁判所(横田昌紀裁判長)は、私(松田幹雄)が原告の表記の事件(裁判)について、被告の横山英幸大阪市長に対して、

「主文1 
被告は、原告に対し、9万4262円及びこれに対する令和2年9月30日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
2、3 (略)
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。」

との判決を出しました。

この大阪地裁判決については、「コロナ禍で自主的在宅勤務“欠勤扱い不当”大阪市に賠償命令」(NHK)、「在宅勤務『欠勤』違法 地裁 大阪市に賠償命令」(毎日)など、関西のほぼすべてのメディアで報道されました。

私は、地裁判決を受け入れ、当時のコロナ対策を見直してほしいという要請書を5月24日付で提出しましたが、大阪市(横山市長)は、5月25日に控訴しました。私は、さらに、6月2日付で、横山市長にあてて「控訴した理由を市民に説明することを求める申入書」を提出し、6月15日の記者会見での説明を求めましたが、何らの説明もされませんでした。

私は、控訴の経過を知りたいと思い、5月29日付で「5.17大阪地裁判決に対して、大阪市が控訴した経過が分かる文書」の開示請求を行いました。そして、6月12日付の部分開示決定を経て、6月19日に開示文書を受け取りました。驚くことに、その文書から、大阪市側弁護士の見解を受けた上での5月18日段階の大阪市教育委員会事務局担当課の原案が「控訴せず、支払う」というものだったことが分かりました。それを誰かが覆して控訴させたわけです。

そのような経過を経て、7月14日付で大阪高裁に提出された大阪市(横山市長)の「控訴理由書」(P41~P42)は、以下のように述べています。

「被控訴人には体調不良等が生じてはおらず…日本国内で生活していた他の教員と区別する理由がなかったのであるから、例外を認める事情がないと判断しても、考慮すべき事情を考慮しなかったことにはならない。」「…単に私用でわざわざスイスに行き、そのスイスの感染者数がたまたま増えていたという理由だけで、体調不良等が生じていない被控訴人にだけ自宅での承認研修を認めた場合、他の教員の中に、『体調不良等が生じていなくとも、新型コロナに感染しやすい場所から帰ってくれば自宅での承認研修が認められるのであれば、自分もそのような場所に行くことによって、自宅での承認研修を認めてもらおう』と思う者が出てきたり、そこまではしないとしても、不公平であると感じる教員が出てきて、学校運営に支障を来たすおそれもあったのである。」

 いうまでもなく、2020年3月17日に、新型コロナウイルス感染症対策政府専門家会議が、厚生労働省に、欧州からの入国者・帰国者に「2週間の自宅等での待機と公共交通機関不使用」を要請するよう要望したのは、そして、それが、翌日、政府方針になったのは、欧州等からの入国者・帰国者が、無症状等で意識せずに感染拡大を広げているという現状認識に基づくものでした。

大阪市の控訴理由書は、大阪市教委・大阪市政が当時の新型コロナ感染症対策の政府方針を無視していたこと、そして、大阪市が教職員に対してとんでもないひどい見方をしていたことを公然と表明しています。この訴訟を継続することは、大阪市にとって不名誉なものになります。大阪市会として、控訴の経過を調査し、今からでも控訴を取り下げを検討すべきです。

<陳情項目>

大阪市会として、【令和2年(行ウ)第124号賃金請求事件】(コロナ在宅勤務不払い裁判)の2023年5月17日大阪地裁判決に対する大阪市の5月25日付控訴の経過を調査し、取り下げの検討を行うこと

2023年9月7日
陳情者
大阪府●●市●●●町●●-●
松田 幹雄

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