元大阪府立高校教員 梅原 聡
最高裁が大阪府の上告を不受理 大阪高裁判決が確定
卒業式の「君が代」斉唱時の不起立で二度の戒告処分を受けたことと、思想良心の
自由を侵害する「意向確認」に答えなかったことを理由に再任用を拒否したことは違
法だと、府に損害賠償を求めて提訴(2018年4月)していましたが、6月16日、最高
裁が府の上告受理申立てを不受理としました。これで、「府教委の判断は、客観的合
理性、社会的相当性を著しく欠く裁量権の逸脱・濫用にあたり、違法」として315
万円の損害賠償を命じた昨年12月大阪高裁でボクが勝訴した判決が確定しました!
ボクの裁判は、このところLIA労組の皆さんの裁判を追いかける形で進行してきまし
た。2017年春に職場を追われて訴訟を起こし、一審で敗訴するも、二審の大阪高裁で
逆転勝訴、そして最高裁へと、事情はまったく異なりますが、よく似た経過をたどっ
てきました。東リの偽装請負事件は、6月9日に最高裁で上告が棄却され、大阪高裁
勝訴判決が確定したと聞いて、「よし!次はボクの番」と胸が高鳴る思いが膨らむ一
方、裁判体がアベの息のかかった裁判官のいる第一小法廷なのを心配する声もあり
、「ここで明暗分かれましたね。」みたいなことになったら‥ という不安も大きくな
っていました。
そこへ、この通知。ホントにホッとしました。結論自体は当たり前のことやないか
と思いますが、やっぱり心底うれしい!!これまでやってこられたのも、弁護団の皆
さんのがんばりや、支援してくださるなかまの支えがあったからこそです。ほんとう
にありがとうございました。
大阪府・府教委は真摯な反省と謝罪を!
6月24日、吉村知事・橋本教育長宛に要請・質問書を出しました。今回の裁判で府
側の違法行為が明確に認定されたわけです。自分たちのやってきたことが間違ってい
たことを認めるのか?(当然認めなければ話になりませんが)次に、再任用選考の過
程に、ボクたちのような「君が代」不起立者を排除しようとするシステムが存在した
はずですから、そこを明らかにし、どう改善するのか?を質しました。また、府とし
てなぜ上告決めたのか?上告の期限までまだ日を残して府議会に上告を提案していま
すが、無理筋にも感じられる上告は吉村の圧力ではなかったのか?いずれにせよ、悪
いことをしたのは間違いないのだから、ごめんなさいを言うのが当然です。賠償金(
府民の税金ですよ!)を払えばおしまいじゃないですよね。きちんとした謝罪を求め
ます。ボクが教師として生徒と過ごすはずだった時間はもうかえってきません。「吉
村、府を代表してお前が謝れ!すべての発端となった国旗国歌条例・職員基本条例を
無理やり押し通したのもお前たちだから、反省して条例撤廃を提案しろ!」そんな気
持ちです。
維新の教育破壊にNOを!
大阪では「維新」が「君が代」強制に抗う者を教壇から引きずり下ろそうとしてき
ました。それが、同一職務命令違反3回でクビにする条例や、不起立者への再任用拒否
でした。今回の裁判を通じて、「君が代」強制の流れに1本、釘をさすことができたの
ではないかと思います。「維新の会」が推し進めるトップダウンの学校体制づくりの
中でものを言えなくなっている現場の教職員の皆さんに、今回の勝利判決から、少し
の希望と勇気を見いだしてもらえたらうれしいと思います。これから、現場で様々な
問題で立ち上がろうとしている皆さんと共に闘っていけたらと思っています。