大阪市教委責任での万博見学に関する正式の学校意向調査実施と学校の態度決定にあたって教職員全員の意向を踏まえることを求める要請書
2024年9月19日
大阪市教育委員会
教育長 多田 勝哉 様
なかまユニオン・大阪市学校教職員支部
支部長 笠松 正俊
本件担当 書記長 松田
前略。
現在、2025大阪・関西万博の学校・学年単位での見学(無料招待事業)手続きが、大阪府教育委員会の責任事業として、5月31日締切の各学校の意向調査結果をもとに進められています。しかし、5月の調査は、きちんとした職員論議も経ずに管理職など一部職員の判断でとにかく見学希望日を入力したというのが多くの学校の実態であって、まったく信頼性のないものです。府教委は7月10日、6月以降それを精査してまとめたという調査結果について、市町村教育委員会に管轄分の学校の見学希望日等入力情報を渡していますが、その調査結果についての公開請求に対しては、大阪府教委も、大阪市教委も学校名を非公開としました。非公開理由は、「本データは、調査が令和6年5月末に終了し、一旦調査が終了したものの、万博に関する諸情報が示されない中、学校が回答した内容につき、今後も変更が生じる可能性があるデータ」(大阪府教委)、「当該情報は検討段階の未成熟な情報」(大阪市教委)とするもので、府教委も市教委もこの調査結果が信頼性のないものであることを認めているわけです。しかしながら、府教委は、府教委自身が「仮受付」と呼ぶこの信頼性のない調査結果をもとに、10月13日開設予定の万博協会による団体予約販売WEB予約サイトに仮予約、2025年4月児童・生徒数確定後に本予約という見学実施のレールに自動的に乗せようとしており、許されません。
大阪市教委は、現在、この府教委方針を追認している状況です。大阪市教委は、4月16日、4ブロック別に全市の校長を集め、「(5月31日締め切りの希望調査について)「やめることはいつでもできるから、とにかく希望日をいったん入力しておいてほしい」と説明したと聞いています。8月29日には、大阪府教委の7月の説明会、7月8月の万博協会の説明会資料を周知し、「引き続き、大阪府教育庁や関係機関と連携しながら、2025年日本国際博覧会児童・生徒招待事業への参加のあり方について検討してまいります」とする通知を各学校に送っています。市教委の立場は、「学校が万博見学を取りやめると無料招待事業事務局に申し出ればいつでもやめられる。ボールは学校にある。」ということのようですが、学校には、来年度行事を決定する時期・期限もあります。未だに、学校として万博見学をどうするか、きちんとした話し合いができていない学校が多数である現状は、大阪市教委にも大きな責任があります。「大阪市教委がまとめたこの情報をもとに、〇月〇日までに、学校としてきちんとした手続きの下に正式な学校としての態度を決定して、報告してほしい」と期限を切って正式な意向調査を行うことが、これまでの経過を踏まえた大阪市教委の責任の果たし方だと考えます。
本来、校外学習等の学校行事は、学習目的・安全性その他の条件を検討し、子どもたちの希望も勘案しながら、その学校行事を担う全職員の意向を踏まえて決定されるべきものです。なお、教員の権利にかかわっては、国際基準である「教員の地位勧告」パラ61に「教員は、職責の遂行にあたって学問の自由を享受するものとする。教員は、生徒に最も適した教具及び教授法を判断する資格を特に有しているので、教材の選択及び使用、教科書の選択並びに教育方法の適用にあたって、承認された計画のわく内で、かつ、教育当局の援助を得て、主要な役割が与えられるものとする。」と規定されていることを指摘しておきます。
以下、要請します。
<要請事項>
1.大阪市教育委員会の責任で、万博見学についての正式の意向調査(態度決定の調査)を行うこと
2.学校の態度決定にあたっては、教職員全員の意向を踏まえるよう指導すること
以上です。
大阪市教委回答(2024.9.30)
【要請事項1】
大阪市教育委員会の責任で、万博見学についての正式の意向調査(態度決定の調査)を行うこと
【回答】
大阪府教育庁の説明によりますと、意向調査における希望の取り下げは、令和7年4月の本予約成立までは可能となっていることから、引き続き、大阪府教育庁や関係機関と連携しながら、招待事業に関する情報を各校へ周知してまいります。
また、本市教育委員会としましては、意向調査への登録状況に基づいた各校の来場予定をもとに、招待事業への安全な参加に向けた支援について検討を行ってまいります。
【要請事項2】
学校の態度決定にあたっては、教職員全員の意向を踏まえるよう指導すること
【回答】
本市教育委員会としましては、大阪府教育庁による説明資料をもとに、令和6年4月16日に実施した本市説明会においても、学校・学年等での参加については強制するものではなく、10月の仮予約、そして、さらに下見等を含めた入場前までの期間を含め、十分に招待事業についての情報を確認し検討したうえで、学校行事としての実施について各校で最終的に判断していただくよう周知しております。
引き続き、大阪府教育庁や関係機関と連携しながら情報収集を行うとともに、収集した情報や本市教育委員会としての考えを周知してまいります。
※「学校として万博見学をどうするか、きちんとした話し合いができていない場合は、学校(校長)に責任がある」という回答です。校長先生、教職員のみなさん、大阪市教委の立場はこうなので、今後、自分の学校ではどうするのか、それぞれ問われることになります。学校行事の基本に立ち返って論議をお願いします。