2022年2月18日大阪市会教育こども委員会陳情審査報告 久保校長文書訓告問題

「久保校長の文書訓告取消と大森不二雄大阪市特別顧問の不適切発言取消を求める陳情書」(2022年2月7日)をめぐって

 陳情審査から半年以上が過ぎましたが、大阪市の学校教育を考えるうえで、久保敬校長の提言・文書訓告と大森不二雄大阪市特別顧問の不適切発言についての評価はさけて通ることができないものと考え、遅ればせながら掲載します。2022年9月24日現在、朝日新聞大阪版の「僕の好きな先生」と題する、かまいたち・濱家さんと久保先生のエピソードについての連載は18回目となっています。久保元校長の著書「フツーの校長、市長に直訴!ガッツせんべいの人権教育論」(解放出版社)も出版されました。久保校長の提言の心・久保校長にとって教育とはどんなものだったのかいうことを、私たちはさらに深く知ることができるようになっています。この時点で、2022年2月18日大阪市会教育こども委員会陳情審査で何が明らかになったのか確認しておくことは重要だと思います。

2022年2月7日付「久保校長の文書訓告取消と大森不二雄大阪市特別顧問の不適切発言取消を求める陳情書」⇒陳情第136号

陳情項目

1.大阪市教育委員会に対して、2022年1月24日付「令和3年8月20日付『文書訓告』の取り消しを求めます」と題する木川南小学校久保敬校長の要望書にきちんと対応するよう求めること、また、「文書訓告」を取り消すよう求めること

2.久保敬校長「提言」について、2021年6月29日の総合教育会議の場で、事実に基づかない非難を行った大森不二雄大阪市特別顧に対してその発言の取り消しと謝罪を求めること

(参考)大阪市会教育こども委員会記録(令和4年2月18日)https://ssp.kaigiroku.net/tenant/cityosaka/SpMinuteView.html?tenant_id=357&council_id=3407&schedule_id=5

山本教育長の陳情第136号に対する見解

教育委員会といたしましては、当該事案にかかわる事実関係を確認した上で、関係法令にもとづき慎重に検討した結果、文書訓告とするのが妥当であると判断をいたしたところでございます。また、総合教育会議での大森特別顧問の発言に対して取消と謝罪を求めるという点につきましては、このご発言は総合教育会議での大阪市特別顧問の立場からのご発言でございますので、教育委員会として特段の対応は考えてございません。

北野妙子委員の質疑

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北野妙子委員の陳情第136号にかかわる質疑の映像は14:05~38:20です。

審査結果

各派の態度は、維新の会「不採択」、公明党「継続審査」、自民党「採択」、自民・くらし「採択」、共産党「採択」で、「不採択」6、「継続審査」3、「採択」4で、いずれも過半数に満たないので、裁決せず、「引き続き審査」

北野委員の質疑の要旨 ★北野委員 ●市教委担当者

★久保校長自身が「文書訓告には重大な事実誤認がある」として「令和3年8月20日付『文書訓告』の取り消しを求めます」という表題の要望書を提出しておられるが、これに対して教育委員会はどのような対応をされたのか。

●(教職員服務・監察担当課長)教育委員会といたしましては、当該事案にかかわる事実関係を確認した上で、関係法令に基づき慎重に検討した結果、文書訓告とするのが妥当であると判断したところでございます。文書訓告につきましては、地方公務員法上の懲戒処分ではないため、人事委員会に対する審査請求や取消訴訟の対象とはなりませんが、本市教職員から当該文書訓告の取り消しを求める要望書が提出されましたので、教育委員会事務局内において供覧手続きを行い、組織として受け止めたものでございます。

★「供覧」とは書類を回すということで、それがきちんとした対応とは言えない。「組織として受け止めた」と言われているが、久保校長は、要望書において、文書訓詁に重大な事実誤認があると主張されているのだから、教育委員会がどう考えているのか、何らかのリアクションがあってしかるべきだが、今の答弁ではそれがあるように思えない。要望書の内容について確認をしていく。1つ目、要望書の「理由」の中で、久保校長は「提言書において大阪市の学校全体でお粗末な状況が露呈したとは言っていない」と抗弁しておられる。このことについて、いかがでしょうか。

●〈教職員服務・監察担当課長〉提言書におきまして、関係個所の文脈は「一人一台端末の配備についても、通信環境の整備等十分に練られることがないまま、場当たり的な計画で進められており」と指摘した上で、「大阪市長が全小・中学校でオンライン授業を行うとしたことを発端に、そのお粗末な状況が露呈した」と続くことから、そのお粗末な状況の「その」とは、一人一台端末の取組みを指すものと考えられます。そして、一人一台端末の取組みが全市的に実施されたものであることを踏まえますと、提言書の関係個所は、大阪市の学校現場全体で進められた一人一台端末の取組みのお粗末な状況が露呈したという趣旨であり、それを訓告文において記述したものでございます。

★文章をこねくり回してひっぱり出さないと出てこないような理屈としか思えない。こねくり回してか、こじつけか、わからないけれども、仮に、提言書のこの部分を今のように解釈したとしても、港中学校の名田校長先生とか、先生の呼びかけに応じて出された255名の提言とか、有志の方々が保護者などで集められたアンケート、そして、会派で実施したアンケート、いずれを見ても、大阪市の教育現場全体でオンライン学習がうまくいっていなかったということは明かです。久保校長の指摘が事実で、教育委員会としてはよほど耳が痛いことじゃあなかったのかと思う。教育委員会の体面を保つために文書訓告というようなことをして、そういった意見を抑え込もうとしたのではなかったのかなあとさえ思えてしまう。次に、2ページ目、「商品」ということばが出ている。この「商品として子どもを扱う」と教育委員会は指摘しているが、久保校長は「商品として子どもを扱おうとしているわけではなく、子どもたちを貶めるために使ったことばではない」と主張しておられる。このことは提言書の文脈から明らかであるとの指摘をいかがお考えでしょうか。

●〈教職員服務・監察担当課長〉提言書にございます「学校はグローバル経済を支える人材という商品をつくり出す工場と化している」との記述が比喩的な表現であることを考慮いたしましても、児童・生徒を商品に例える不適切な表現であると判断したものでございます。

★教育委員会がしていることは、「商品」ということばに拘泥してその部分だけを取り上げる、木を見て森を見ないような行為といえる。提言書全体の趣旨を理解せず、ことさらに、「商品」ということばにフォーカスして、文書訓告の理由にあげているということだ。先ほど答弁であった「学校全体でお粗末な状況が露呈した」とかもそうだが、両方とも、理由をこじつけているようにしか思えない。また、大森不二雄特別顧問のことについても言及されている。大森不二雄特別顧問が昨年の6月29日、本市の総合教育会議において、久保校長の提言書を念頭において「私に言わせれば、それは暴論」というふうなことを言われたり「このような子どもたちの未来に対する責任を自覚していないかのような意見、あるいは保護者や市民の皆様に対する説明責任を放棄するかのような考え方が、学校の責任者から語られる現実は、全くもって信じ難い」と言われている。もとより、表現に自由はあまねく保障されなければならない。憲法にそう書いてある。大森氏は、市長の指示により総合教育会議に出席して、意見・提言、また、提案を行う市長の特別顧問でいらっしゃる。いわば、権力側の人間、お立場でいらっしゃる。その権力者側の人間が、立場の弱い一校長の意見に対して、この公の場で先ほどのような発言をもって非難し、自由な意見表明を抑え込もうというようなことがあって本当にいいのかということだ。本市では、この十年、新自由主義的な教育観が席巻していて、競争、競争、何でも、数値、数値と言っているが、そのような競争、競争にさらされた子どもたちはもちろん、学校現場を支える教職員も本当に疲れている。疲弊しきっているのではないかと強く懸念している。そのことを指摘するために、久保校長は、この提言書において、このようになってはいけないという思いで、「学校はグローバル経済を支える人材という商品をつくり出す工場と化している」と記述されたと、私はそう解釈する。子どもたちを貶める意図があったとは到底思えない。にもかかわらず、ことさらにそれを取り上げて、文書訓告の理由にされれば、自由な意見表明なんかできない。本当に恐ろしいことだと思う。

課題

山本教育長は、「総合教育会議での大森特別顧問の発言に対して取消と謝罪を求めるという点につきましては、このご発言は総合教育会議での大阪市特別顧問の立場からのご発言でございますので、教育委員会として特段の対応は考えてございません。」と述べました。これは、総合教育会議での大森特別顧問の発言に対して取消と謝罪を求める陳情についての対応は、市長がやるべきことと言っているのではないかと思います。市長への要求を考えます。

 大阪市教育振興基本計画は、2022年1月18日の2021年度第2回総合教育会議をへて、2022年度~2025年度版が策定されています。

大阪市:教育振興基本計画 (…>事業別計画、指針・施策>教育) (osaka.lg.jp)

この間の大阪市会教育こども委員会の論議にも関わらず、大森特別顧問は、久保校長に対する2021年6月29日第1回総合教育会議での久保校長に対する不適切発言の謝罪もしないまま、第2回総合教育会議では、「教育行政から学校現場への情報発信(数値目標等の達成に向けた?)を強化すべき」と指示しています。

★令和3年度 第2回大阪市総合教育会議議事録P5

大阪市:大阪市総合教育会議 (…>市政の総合調整>会議の開催状況) (osaka.lg.jp)

2021年6月29日第1回総合教育会議における大森特別顧問の不適切発言の取り消しと謝罪を求めることは、継続して要求する課題です。

(参考)2021年6月29日第1回総合教育会議における大森特別顧問の不適切発言

6.29大阪市総合教育会議・大森特別顧問発言と久保校長提言を比較してみよう! | 「君が代」不起立処分撤回!松田さんとともに学校に民主主義を! (wordpress.com)

大阪市HP 2021年6月29日第1回総合教育会議開催結果

大阪市:大阪市総合教育会議 (…>市政の総合調整>会議の開催状況) (osaka.lg.jp)

議事録(大森特別顧問の不適切発言はP16~P18)

◆参考:世界の教育学者からのメッセージ「久保敬校長先生のご退職に寄せて」(約13分の動画)
(2695) School Education for/as Human Rights: To Conclude Kubo-sensei’s 37-years Teaching Career 久保校長ご退職に寄せて – YouTube

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