卒業式の「君が代」指導について                      お願いメールの紹介

3月10日、大阪市立小・中学校の校長・教職員のみなさまにあてて、D-TaC(Democracy for Teachers and Children~「君が代」処分撤回!松田さんとともに~)からお願いメールが送信されました。転載して紹介します。

以下

説明・学習抜きの「君が代」斉唱強制は、『子どもの権利条約』違反です。 子どもたちに、「君が代」の歴史をきちんと伝えてください。

2023年3月10日Democracy for Teachers and Children~「君が代」処分撤回!松田さんとともに ~(略称 D-TaC)

校長・教職員のみなさまに、D―TaCよりのお願いメールを送らせていただきます。

昨年までも全教職員が見ることができるメールアドレスに送らせていただいていました。今年度からメールシステムが変更されたそうで、今回改めて大阪市教育委員会から情報提供を受けたこの学校メールアドレス(全教職員宛)に送っています。なお学校によっては、まず管理職だけが見てから、全教職員が見ることができる判断をしている学校があるかもしれません。その場合、このお願いメールは、管理職の先生はもちろん、貴校に在籍されるすべての教職員に読んでほしいものなので、そのようにお取り扱いいただきますよう、よろしくお願いします。

校長・教職員のみなさまへ

「『君が代』の歌詞の意味知ってる?」「教えてもらった?」と聞いたら「知らない」「教えてもらっていない」という小学生・中学生がほとんどというのが、今の大阪市の状況です。それなのに、小学生・中学生は「卒業式では国歌はしっかり歌いましょう」と指示されています。子どもたちにとってこの状況はおかしいことではないでしょうか。私たちは「子どもの権利条約」違反だと考えます。

◆◆◆◆◆「子どもの権利条約」には、以下のことが書かれています。◆◆◆◆◆

第12条(意見を表明する権利)「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。」

第13条(表現の自由と情報取得の権利)「児童は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、(中略)あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。」

第14条(思想、良心及び宗教の自由)「締約国は、思想、良心及び宗教の自由についての児童の権利を尊重する。」

◆◆◆◆◆「歴史や歌詞の意味などを教えるのは全然ありだ」(文科省2023.8.30)◆◆◆◆◆

私たちは、昨年8月、他の市民団体(http://hinokimi.web.fc2.com/)と一緒に文部科学省交渉を持ち、日の丸・君が代について質問しました。

(質問)

1999年8月内閣総理大臣の談話では「国旗国歌法の制定を契機として、日章旗の歴史や君が代の歌詞などについて、より理解を深めていただきたい」と言っている。(中略)しかし、結局それは教えなくても良いということか。

(回答)竹野健太 初等中等教育局 教育課程課 企画調査係長

「君が代」について教えなくても良いとは考えていない。学習指導要領には書いてないからといって、学校現場で教えなくてもいいというわけではなくて、そこは教員の方々の裁量であり、先生方が多角的にそういったことを教えることは、全然ありだと思っている。また、「君が代」の解釈について、学習指導要領にはなくても教科書には書いてあるものもあるので、それらを踏まえながら、先生の裁量等に基づきながら適切にご指導いただくことが重要と考えている。

 

◆◆◆◆◆「斉唱しない自由も尊重されるべき」(大阪高裁2009年確定判決)◆◆◆◆◆

「君が代という国歌が担ってきた戦前からの歴史的役割に対する認識や歌詞の内容から、君が代に対し負のイデオロギーないし抵抗感を持つ者が、その斉唱を強制されることを思想信条の自由に対する侵害であると考えることには一理ある。とりわけ、『唱う』という行為は、個々人にとって情感を伴わざるを得ない積極的身体的行為であるから、これを強要されることは、内心の自由に対する侵害となる危険性が高い。したがって、君が代を斉唱しない自由も尊重されるべきである。」

「君が代」斉唱が、思想・良心の自由にかかわる問題だということは、この判決文でもこのように指摘されているのです。

子どもたちには、「君が代」の歌詞の意味・変遷等がきちんと伝えられ、意見が聞かれ、嫌だという子どもたちには無理やり歌うことが強制されない措置が取られなければなりません。しかし、大阪市の学校ではそれはまったくなされていないのです。

◆◆◆◆◆世界の常識から大きく逸脱、大阪の「国旗国歌条例」◆◆◆◆◆

なお、大阪の国旗国歌条例とその下での「日の丸」「君が代」強制は、「教員の地位勧告」(1966年)に関するILO/ユネスコ合同専門家委員会(CEART)の勧告(2019年、2021年)や国連の国際人権自由権規約委員会の勧告(2022年)で批判されています。

私たちは昨年3月1日にも「説明・学習抜きの『君が代』斉唱強制は、人権侵害です。子どもたちに、『君が代』の歴史をきちんと伝えてください。」というメールを送らせてもらいました。ぜひ、「君が代」の歴史をきちんと伝え、児童・生徒が自分の考えを深められるよう援助してください。子どもたちの意見を聞き、嫌だという子に強制することがないようにお願いいたします。

◆◆参考資料はここから検索を◆◆

「君が代」の意味の変遷等についての説明は、以下が参考になります。

※資料:卒業式・入学式の国旗・国歌について
handout01.pdf (wordpress.com)

https://democracyforteachers.files.wordpress.com/2015/08/handout01.pdf

※修身教科書(戦前の国定「道徳」教科書)の「日の丸」「君が代」
http://kohoken.chobi.net/cgi-bin/folio.cgi?index=lb2&query=/lib2/19420401.txt

「君が代」調教NO!松田処分取消裁判の情報は以下で見ることができます。
教育現場に「日の丸・君が代」はいらない | 教職員なかまユニオン (nakama-kyoiku.com)

教育現場に「日の丸・君が代」はいらない
君が代処分撤回 大阪府では橋下・維新が、2011~12年に「国旗国歌強制」条例と職員基本条例(教職員は起立斉唱の職務命令違反3回で免職)の制定と全教職員への教育長通達(「職務命令」)のもとで、12年の卒・入学式以降、現在まで延べ60名以上の...
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