コロナ在宅勤務不払い裁判 5.17大阪地裁判決 原告(松田さん)勝訴

在宅勤務を認めなかった校長(市教委)の判断は違法!と認定

教職員なかまユニオンの組合員・松田幹雄さんが訴えた裁判「コロナ在宅勤務不払い裁判」の判決言い渡しが、5月17日(火)13:15から大阪地裁809号法廷で行われました。傍聴席は満席。判決言い渡しに先立って法廷のテレビ撮影がありました。

裁判長(横田昌紀裁判長)は、主文からではなく、争点の説明から始め、各争点についての判断を説明しました。判決内容は「未払い給与、未払い賞与の請求は認めず、初めの3日間分だけ、危険負担の法理によって救済(44262円)。校長が本件承認研修を承認しなかったことは、国賠法1条1項違反慰謝料50000円)。出勤命令はパワーハラスメント又は安全配慮義務違反ではない。」でした。

コロナ在宅勤務不払い裁判 5月17日大阪地裁判決文
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争点2の判断「校長が本件承認研修を承認しなかったことは、国賠法1条1項違反(慰謝料50000円)」の内容は、以下のようなものでした。
「『自宅での承認研修は認められないことになっている』という市教委の見解は、当時の新型コロナ感染状況などの社会情勢等考慮すべき事項を考慮せずに従来の見解を形式的に適用せよというもの。校長が、社会情勢等考慮すべき事項を考慮せずに専らその見解に依拠して自らの判断を変え、自宅での承認研修を承認しなかったことは、職務上の義務違反であり、裁量権の逸脱・濫用として、国賠法1条1項違反と言える。」「損害の慰謝料は、原告の経済的不利益を考慮して5万円が相当」。

請求額114 万 7723 円(欠勤扱いされた8日間に対応する賃金相当額 11 万 8034 円+
未払い賞与相当額 2 万 9689 円+慰謝料合計 100 万円)に対して、判決は、94262円(3日分の給与相当額4万4262円+慰謝料5万円)を認めただけですが、当時の新型コロナ感染状況などの社会情勢等を考慮せず自宅での研修を認めなかった市教委(大阪市)の判断を違法と認定したこと、専ら市教委の見解に依拠して、自宅での承認研修を承認しなかった校長の行為が職務上の義務違反であり、国賠法1条1項違反としたことの意義は大きく、勝訴判決と評価できます。

原告勝訴の判決は多くのメディア(テレビ、新聞等)で報じられました。
例えば、NHK 関西のニュース報道
コロナ禍で自主的在宅勤務“欠勤扱い不当”大阪市に賠償命令|NHK 関西のニュース

横山市長に「控訴するな!」申入書を提出

5月24日、松田さんと支援者は、「控訴せず、これまでの大阪市のコロナ対策の見直し・検証を求める」申入書を横山大阪市長に提出しました。控訴期限は、5月31日です。ご注目ください。

【原告・松田幹雄さんから】

私が出勤せず在宅勤務したことの正当性が認められてうれしいです。当時、政府専門家会議が2週間の自宅等での待機と公共交通機関不使用を要請した欧州からの帰国者は全市の教職員で私だけでした。特別に在宅勤務を認めることや職務専念義務免除にして特別にPCR検査を受けさせることなど、いくらでもできることはあったのに、それをしなかったのはなぜか?この判決を機にコロナ対応の総括・見直しを行ってほしいです。校長・教職員・市職員のみなさんには、今回の判決で、校長が自分で考えることなく無批判に市教委指示に従ったことが「職務上の義務違反」として国家賠償法1条1項違反の理由とされたことにも注目し、今後の働き方を考えていってほしいと思っています。

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